Twitterが正式に政治広告を禁止

2週間前にTwitterが発表した政治広告禁止措置が発効した。ルールは驚くほどシンプルだ。シンプルすぎるかもしれない。定義に該当する政治的コンテンツは今後広告宣伝できない。候補者、政党、政府、政府職員、PACs(政治行動委員会。米国の選挙における政治資金管理団体)、非営利の政治団体は、コンテンツの広告宣伝が一切禁止される。

Twitterの方針の背後にある考え方は「政治的なメッセージを届けたいなら金に頼るのではなくその内容で訴える必要がある」。これは反論が難しい(Facebookは反論するだろう)。 新ルールは世界中すべての広告に適用される。

Twitterは政治的コンテンツをすべて禁止するのではなく、有料広告に限って禁止する点をまず明確にしておきたい。あらゆるトピックは同等に扱われ、Twitterのユーザーは個人・組織を問わず以前と同じく自身の目的を追求できる。

簡潔なルール説明の中で、Twitterは「政治的コンテンツ」とは何かを明らかにした。

政治的コンテンツは、候補者、政党、選出・任命された政府職員、選挙、住民投票、投票方法、立法、規制、指令、判決に関するコンテンツと定義される。

禁止されるのは、

政治的コンテンツに関する広告並びに投票の呼びかけ、金銭的支援の勧誘、以上の政治的コンテンツへ賛成・反対を表明すること。

極めて簡明にみえる。政治的広告の禁止を始める時には賛否両論あるものだが、不明確・複雑な定義は事態をさらに難しくする。

包括的な禁止の範囲に政治団体も含めたことも明瞭さにひと役買っている。PACsや資金力のある「いとこ」のSuperPACs(特別政治行動委員会。特定候補を直接的に支援しない政治資金管理団体)は、広告を一切禁止される。これは納得がいく。政治資金管理団体が政治に影響を及ぼすこと以外の目的で広告宣伝することがあるだろうか。501(c)(4)非営利組織(米国で連邦所得税が免除される社会福祉向上のための非営利団体で、政治活動も可能)はPACsほど悪名高くはないが、政治関連で巨額の支払いをした団体は広告宣伝禁止となる。

もちろん例外免除規定があり、政治問題の報道を促進したい報道機関と、非政治的とみなされる「社会的意義に基づく」コンテンツは除かれる。

報道機関の免除は極めて自然だ。多くの報道機関は政治的な見方やイデオロギー的な傾向を持っているが、候補者や政党に直接何百万ドルも寄付するような行動からは程遠い。ただ、どのサイトでも免除されるわけではない。月間20万のユニークビジターを擁し、自身でコンテンツを作成しており、原則として単一のテーマに限ったサイトではないことが条件だ。

「社会的意義に基づく」免除は、最も白熱する論点だろう。Twitterのポリシーにあるように「市民参加、経済成長、環境管理、社会的公平性といった社会的問題に関して人々に教育、啓発、および/または行動を促す広告」は許される。

「社会的意義に基づく」免除にはいくつかの制限がある。まず地域をターゲットにする広告は州や地域レベルまでが許され、郵便番号レベルでのターゲティングは認められない。また、政治的関心に基づくターゲティングも認められない。例えば「社会主義者」だけに社会的意義に基づく広告を送信することはできない。さらに、上記の禁止対象の個人や団体を参照したり、代わりに広告を出すこともできない。

Twitterが噛みつかれる可能性があるのは、定義における「遊び」だ。「市民参加」と「社会的公平性の社会的意義」とは正確には何を意味するのか。そうした概念はあえて漠然と定義して、包括的な規定にしようとしたのかもしれない。ただ解釈の余地があると、つけ込む輩が現れると思ったほうがいい。

明らかにこれは、有権者登録運動、災害救援活動などの広告宣伝は許可することが意図だ。ただ十分想定されるのは、反移民集会を「重要なトピックに関する公開討論」として広告宣伝するような例だ。

筆者は、社会的意義に基づくコンテンツルールに関する追加のガイダンスが近日公開されるかTwitterに質問した。応対した担当者は、筆者が引用したまさにその文言を参考にするよう述べただけだった。

とはいえ、Twitterのポリシー責任者であるVijaya Gadde(ビジャヤ・ガッデ)氏は、同社が個々の問題に関する意思決定を透明にし、今後のルール変更について明確にすると述べた。

「これは新しい領域だ」と同氏はツイートした。「我々が実践するすべてのポリシーと同様に、このポリシーも進化し、ユーザーのフィードバックに耳を傾ける」。間違いなく膨大なフィードバックを受け取るだろう。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi)

投稿者:

TechCrunch Japan

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