3月の始め、ライブ映像のストリーミングアプリであるMeerkatが北米ユーザーを中心にTwitter上の話題をさらった。MeerkatはTwitterと連動し、フォローしている人のストリームをタップすると数秒後には送信者と同じ映像を共有することができる。配信映像についてコメントしたり、他のユーザーのコメントを読んだりすることで、その場にいる感覚を味わえるアプリだ。動画はデバイスに保存しない限り、撮影が終了した時点で消えるのもライブ感を大事にしたMeerkatの特徴の一つだ。
すぐにでもTwitterがMeerkatの買収に乗り出すのではないかと噂が流れるほどだったが、その後意外な展開が待っていた。2週間も絶たないうちに、Twitterは同様のサービスを展開するPeriscopeの買収を発表したのだ。Periscopeはまだローンチしていないが、ベータ版をここから申し込むことができる。ベータ版の体験者からは、「Meerkatより洗練されている。最近のモバイルアプリの中で最も優れたアプリだ」との声が聞かれている。
TwitterがPeriscopeを買収した時点で、Meerkatは彼らの競合となった。Twitterは既にMeerkatのソーシャルグラフへのアクセスを制限した。つまり、新規ユーザーがMeerkatにTwitterアカウントでログインしても、Twitterでフォローしている人をMeerkat上では自動でフォローされない。この制限により、ユーザーはMeerkatで友人ネットワークを作り直さなければならなくなる。Meerkatは既に多くのユーザーを獲得してはいるが、新規ユーザーの獲得、そして既存ユーザーを引き止めるのにこれは大きな足かせとなるだろう。
写真の共有からライブストリーミングへ
この一連のライブストリーミングをめぐるTwitterの動きは、かつてTwitpicが写真共有を行った時と似ていると感じた。彼らは、ツイートの早さで写真を世界中に伝達し、ニュースが配信されるスピードを格段に速めた。Twitterが写真の次に、ライブストリーミングに目をつけたのは必然のことなのだろう。ライブストリーミングは、写真や録画された動画コンテンツにはない臨場感と閲覧ユーザーの一体感を高めることができるのだ。
ライブストリーミングは日本のユーザーにとっては馴染みが薄いものではないかもしれない。日本には、2010年からサービスを運営し、450万人以上のユーザー数を抱える「TwitCasting Live (ツイットキャスティング・ライブ)」が市民権を得ている。口コミで広がったこのサービスは、今では映画やクラウドファンディングのプロジェクトのプロモーションに使用される機会も増えてきている。
Twitterがネイティブのストリーミングサービスを本格的に開始するなら、ツイキャスのようなライブストリーミングサービスもその影響を少なからず受けることになるだろう。海外ユーザーが全体の2割と、日本国外でも人気のあるツイキャスを脅かすには、Twitterは自社のストリーミングにユーザーを惹き付けることのできるコンテンツクリエーターが必要となるだろう。
高画質のカメラを搭載したスマホが普及するほど、人生の「今この瞬間」を切り取り、誰かと共有することが簡単になった。写真共有がニュース配信を変えるほどの影響力があるのなら、ライブストリーミングがどのような影響力を持つことになるのか、今後の展開が期待される。