Uber、相次ぐ幹部のスキャンダルに大揺れ―モラルの立て直しが即刻必要

このところ毎日のように新たなUberスキャンダルが発覚する。最新のスキャンダルはゼネラル・マネージャーの一人が「ゴッド・ビュー」と呼ばれる全ユーザーの乗車状況を閲覧できるデータベースを不当に利用したという疑いでUberが社内調査を行っているというものだ。

これに先立って、Uberの上級副社長、Emil Michealが著名人が多数参加したディナーの席で、Uberの批判記事を書くジャーナリストの過去を調査して悪事を暴いてやればいいという意味の発言を行って大問題となっている。

今日、新たに問題となったのはUber New Yorkのゼネラル・マネージャー、Josh Mohrerで、BuzzFeedの報道によれば、 MohreはBuzzFeedのライターの乗車ログに少なくとも2回にわたって正当な理由なくアクセスしたという。MohrerがアクセスしたのはGod Viewと呼ばれる社内ツールで、全ユーザーのリアルタイムの利用状況と個々のユーザーの利用履歴にアクセスできる。

TechCrunchではUberに2回にわたってこの問題へのコメントを求めたが、現在まで回答を得られていない。[われわれはUberがこの問題に関する社内調査を行っていることを別のソースから確認した。]

Uberの社会的責任は大きい

巨大な価値のあるデータを取得したものは巨大な責任を負う。しかしGod Viewの管理はまったくいい加減なものだという情報を得ている。情報源によれば、Uberの管理職なら誰でもGod Viewを使い放題だというのは公然の秘密だそうだ。それでもこれまでは大きな問題は起きなかった。

God Viewのウェブサイト はGoogle検索で簡単に見つかる。 [アップデート: Uberは現在このページをオフラインにした。すくなくとも外部からは閲覧できない。] ともかくGod Viewは秘密でもなんでもなかった。Uberはリアルタイムの利用状況の画像を話題づくり余興として何度も公開している。

9月には『小さく賭けろ! 世界を変えた人と組織の成功の秘密』の著者で、ベンチャーキャピタリストのピーター・シムズが自分の乗車状況をUberに勝手に公開されてしまった経験を報告している。Uberがシカゴで開催したイベントで、巨大スクリーンにシムズの乗車位置がリアルタイムで表示されてしまったのだという。もちろんシムズはそんな許可を与えたことはなく、会場にいた知人からの通報で知ったという。

実はTechCrunchの記者の一人もその会場におり、Uberの車に乗って会場に向かっている参加者の位置がリアルタイムでスクリーンに表示されるのを見た。おそらく彼らはUberのファンで、こうした余興に協力することを厭わなかったのだろう。しかしわれわれの記者はやはり違和感を覚えた。

God Viewは他のイベントでも似たようなやり方で公開されている。Uberが保有する個人データの量とそれがプライバシーに重大な関係があることを考えると、こうした無神経な扱いは憂慮すべきものだ。

モラルの羅針盤は即刻、調整が必要

Uberはこれまでにも、犯罪率や売春とUber乗車データの相関や、異性と短時間夜を過ごす行動をRides Of Glory〔栄光の乗車〕という悪趣味な名前で呼び、詳しい統計データを公開している。またアメリカの議員のUber利用率が非常に高いことから、悪意ある者が政治家の乗車履歴にアクセスできたら、 ありとあらゆる問題が起きるだろうとDigiphileは警告している。

Uberのモラルの羅針盤は即刻、調整が必要だ。今やUberは「ごめん、ごめん」といってそのまま済ませられるような小さなスタートアップではない。

〔中略〕

この数日で明らかになったスキャンダルは、Uberの社内がバブルに浮かれていることを強く想像させる。世界の運輸ビジネスのあり方を変えるのだというそれ自体は正当な使命の意識が、無責任な思いあがりに変質しているのではないか? (ベンチャーキャピタルからの10億ドル以上の資金 が手元にあること、日々繰り返される外部から賞賛も、誇大妄想を育むのに一役買っているだろう)。

この状況がとりわけ残念なのは、Uberのビジネスは全体として見れば価値あるものだからだ。Uberは交通分野において満たされていない需要があることを発見し、それを埋めている。ことにアメリカではそうだ。私が会ったUberのドライバーは全員が親切で、誠実そうだった。しかし最近のUberの行動を見ていると、そのある部分は腐っている、すく少なくとも一部の幹部は(神様のように)誰にも責任を追わないですむと思い込んでいるようだ。

Uberは問題の幹部社員を解雇すべきだし、God Viewを閉鎖するか、すくなくともアクセスを厳格に管理すべきだ。CEOも交代させた方がいいだろうが、これは実現が難しいだろう。いずれにせよ、Uberが大きな問題を抱えていることがユーザーの目に明らかになった。Uberが自己改革してわれわれが信頼できるような人間性を取り戻せるか、そもそもそういうことがUberに可能なのか、というのが現在残された問題である。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


投稿者:

TechCrunch Japan

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