Uber、Lyft、DoorDash各社のドライバーらは、2020年11月の選挙に州民投票法案を提出することを米国時間10月29日に米国カリフォルニア州都のサクラメント市で発表する。Protect App-Based Drivers & Services Act(アプリベースのドライバーとサービスを保護する)と呼ばれるその法案(Uber、Lyft、DoorDashの3社が支援している)は、ドライバーや配達人が今後も労働時間が柔軟な独立自営業者でいられることを目的としている。
この投票法案が実施しようとしているのは、最低賃金の120%以上の給与保証、1マイル当たり30セントの経費、医療保険補助、業務中の傷害に対する労働災害保険、差別、セクシャルハラスメントならびに自動車事故に対する補償、および損害賠償保険だ。
この発議はギグワーカー法AB-5に直接対抗するもので、同法はUber、Lyft、DoorDashなどのギグ・エコノミー企業が、自社の労働者を税務用紙Form 1099が規定する個人事業者として分類することを困難にしている。
「新しい法律は柔軟性を奪い去るものであり、何十万人もの職を奪い、あるいはアプリベースのドライバーに好むと好まざるとにかかわらず固定化された業務スケジュールを強制する恐れがある」と発議グループのQ&Aに書かれている。「さらに、ライドシェアおよび配達のドライバーがシフトを決められた従業員として分類されると、オンデマンドサービスの利便性や経済性が損なわれ、消費者やスモールビジネス、そして我々の経済全体が受ける恩恵も損なわれかねない」。
しかし、 ドライバーの一人で抗議グループのリーダーであるAnnette Rivero(アネット・リベロ)氏は以前TechCrunchのGreg Epstein(グレッグ・エプスタイン)に、「AB5は誰の柔軟性も奪ってない、奪っているのは会社だ。それは今誰もが困っている問題であり嘘だと私は知っている。そこに真実などない」と語った。
去る8月にUber、Lyft、DoorDashの各社は3000万ドルずつをこの発議プロジェクトに資金援助した。AB-5が法制化した後Uberの最高法律責任者Tony West(トニー・ウェスト)氏は、Uberはこのプロジェクトに追加して資金を投じる意思があり、会社の労働者モデルを守るつもりだと語った。Instacartもこの発議を支持しているが、資金投入の有無については明らかにしていない。
「Instacartは、オンデマンドのライドシェアリングおよび配送のドライバーが個人事業者として柔軟な労働を選択する権利を守り、新たな収入と手当を補償し、消費者と公共安全を保護する投票法案を支持するグループに参加している」と同社の広報担当者がTechCrunchに語った。
このバトルの反対側に位置するのがGig Workers Risingという数百人のギグワーカーからなる組織で、賃上げ、職場保護、ドライバー主導の組合を一貫して要求している。
“This is yet another example of corporations and billionaires trying to exempt themselves from the democratic process by using wealth and fear tactics,” Gig Workers Rising organizer and driver Edan Alva said in a statement. “For years, these companies have refused to pay drivers fairly or treat us with respect. After working 80 hour weeks, sleeping in our cars and surviving on poverty wages, drivers organized and won support for AB5 from both the public and lawmakers. Now, instead of obeying the law, Uber, Lyft and Doordash want to spend $90 million to avoid accountability — all while claiming it will ‘protect’ drivers. Uber and Lyft were nowhere to be found for the past many years when drivers like me needed healthcare or basic labor protections. We call on the people of California to resist the corporate lies, to stand with drivers and against the billionaires.”
「これは企業と億万長者たちが金と脅しの戦術を使って民主的手段を回避しようとするもうひとつの事例だ」とGig Workers Risingのまとめ役でドライバーのEdan Alva(エダン・アルバ)氏が声明に書いた。「何年にも渡り、これらの会社はドライバーに正当な報酬を払い敬意を持って扱うことを拒否してきた。週80時間働き、車の中で眠り、僅かな賃金で生き延びてきたドライバーたちは、団結して市民と議会の両方からAB-5による保護を勝ち取った。しかしUber、Lyft、Doordashの各社はその法に従う代わりに、9000万ドル(約97億9700万円)を費やして責任を逃れようとしている、ドライバーを『保護』するためであると称して。UberとLyftは、我々ドライバーが医療保険その他の労働保護を必要としてきた何年もの間何一つしてこなかった。我々はカリフォルニア州の人々に対して、こうした企業の嘘に抵抗し、我々ドライバーと共に億万長者たちと戦うよう呼びかけている」。
来週、Gig Workers Risingは他の団体とともに、UberのIPOで現金を手にする人たちの家の前でデモを行う計画だ。TechCrunchは、Uber、Lyft、DoorDashの各社にコメントを求めている。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )