Googleが新文書を作成する「new」ショートカットをマイクロソフトやSpotifyなどに公開

ちょうど1年前、文書、スライド、表計算など各種Googleドキュメントを簡単に作成できる新しいショートカットがリリースされた。このショートカットの実体はTLD(トップレベルドメイン)であり、検索窓にdoc.newと入力するだけで即座に新しいGoogleドキュメント文書が作れる。スプレッドシートが必要ならsheet.newでいい。

米国時間10月29日、 Googleはこのショートカットをサードパーティに公開したことを発表した。企業や組織は自社サービス用にnewドメインを登録すればアプリ内で「.new」ショートカットを利用できる。一部の企業はすでに登録を完了しており、Microsoftはアプリ内でword.newと入力すると新しいWord文書、Spotifyはplaylist.newで新しいプレイリストを作成できるようになる。

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通常あるサービスで新しい文書を作るにはまずサービスを訪問し、ログインし、メニューを開き、「作成」などのオプションを選択する必要がある。「.new」はこの一連の動作を一挙に実行する。

Google自身の「.new」は極めてスムーズに作動するが、一部のサードパーティのドメンの場合、まだ多少ぎくしゃくする。Googleドキュメントの場合、ユーザーはGoogleにログインしているのが普通なのでショートカットは期待どおりに作動する。

しかしサービスにログインしていない場合はひと手間増えることになる。 Mediumの場合、story.newと入力しても即座に新しいストーリー(ブログ記事)が作成されない。まずMediumにログインする必要がある。 もしメンバーでない場合は「Join Medium」という登録ページが表示されるだろう。この場合、新しいショートカットは新記事作成の手間を大きく省くことにならない。

こうした場合、専用の臨時アカウントを用意してすぐに新しい記事を書き始められるようにしたほうがいい。記事を公開する際にMediumに登録あるいはログインするよう求めたほうがユースケースの体験は向上するはずだ。

一方、Microsoft(マイクロソフト)のword.newはGoogleドキュメントの直接のライバルになるはずだが実はまだ機能していない。Googleでは「一部のショートカットはまだ稼働していない。近々運用が開始される」としている。

現在判明しているショートカットには、eBayのsell.new、Canvaのcanva.newとdesign.new、OpenTableのreservation.new、Cisco WebExのcreationwebex.newと letsmeet.new、Bit.lyのlink.new、 Stripeのinvoice.new、RunKitのNode.js APIでのapi.newとlaunch new、CodaのCoda.new、OVO Soundのmusic.new、GitHubのrepo.newなどがある。

Spotifyにはプレイリストを作るplaylist.newの他にAnchorを開始するpodcast.newを用意している。

こうしたサービスのラインアップをみると、「new」ドメインの登録はほかのトップレベルドメインの登録時ほどのゴールドラッシュ的騒動を起こしてはいないようだ。Spotifyのプレイリストを作る機能やマイクロソフトの(今後作動するようになる)のword.newなどは実用的価値が大いにありそうだが、ユーザーが常時ログインしているのでないサービスの場合はユーザー体験の改善にそれほど寄与しないかもしれない。

一部のnewは単に「取れるものは取っておいた」という程度だ。Drakeの運営するレコードレーベル、Ovo Soundのmusic.newなどがそうだ。面白いことにGoogle自身の音楽ストリーミングサービス、YouTube Musicはまだnewショートカットを取っていない。

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GoogleではHTTPSで安全にアクセス可能なドメインであれば登録の申し込みができるとしている。手続きは .app、.page、.devなどのTLD取得の場合に準じる。来月12月2日からLimited Registration Periodが開始されので2020年1月14日まで登録商標の所有者はその商標によってnewドメインを登録できる。

【Japan編集部追記】作動中のGoogleドキュメント向けnewショートカットは、doc.new、 sheet.new、slide.new、site.new、form.new。複数形などのバリエーションも有効。newドメイン登録規約はこちら

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(翻訳:滑川海彦@Facebook