Uber(ウーバー)は中南米のデリバリースタートアップであるCornershop(コーナーショップ)の全株式を取得した。同社株の過半数を取得してからわずか1年後のことだ。現地時間6月21日、ライドシェアの巨人は規制当局への提出書類で、Cornershopの残る47%の株式をUber株2900万株と引き換えに取得すると語った。契約は2021年7月中に完了する予定。
2019年にUberは、Cornershopの過半数所有権を取得する計画を発表した。実際に契約が完了したのは2020年第3四半期になってからで、メキシコでは2021年1月に完了した。今回6月18日に合意に達し、6月21日に報じられた契約によって、CornershopはUberの完全子会社になる。これはUber-Cornershopの関係における当然の成り行きだと本件に詳しい筋が本誌に語った。
この取り引きは、Uberの拡大志向が衰えていないことを示すものだ。Cornershopを完全子会社化することで、パンデミック下に人気が高まっている食料品デリバリー分野を強化できる。Uberは2020年夏にPostmates(ポストメイツ)を企業価値26億5000万ドル(約2920億円)で買収した後、中南米、カナダ、および米国の一部の都市で食料品配達事業を開始した。UberのCEO、Dara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は声明で、同社の食料品および特定分野事業の年間予測取扱高が30億ドル(約3300億円)を超えたと語った。
「Cornershopのチームとのつながりを深め、世界規模への拡大を目指す同社のビジョンを支援するとを大いに楽しみにしています」と同氏は付け加えた。「両社一体となって、食料品の即日配達を世界中のUberプラットフォームで実現する戦略をいっそう強化していきます」。
Cornershopはチリに拠点を持ち、2015年にOskar Hjertonsson(オスカー・ヘルトンソン)氏、Daniel Undurraga(ダニアル・ウンドゥラガ)氏、Juan Pablo Cuevas(ファン・パブロ・クエバス)氏の3名が共同設立した。同社は事業範囲をチリ、メキシコ、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、ペルー、米国、およびカナダの南北8カ国へと拡大した。4回の調達ラウンドを通じて計3170万ドル(約35億円)を調達しており、Accel(アクセス)とJackson Square Ventures(ジャクソン・スクエア・ベンチャーズ)らの投資家が参加している。
Cornershopに目をつけていた食料品サービスはUberだけではない。元々Walmart(ウォルマート)に2億2500万ドル(約248億円)で買収されるはずだったが、メキシコの反トラスト規制当局の介入によって結局成就しなかった。今回の契約が同様なリスクの対象になるかどうかは不明だ。
Uberは食品小売業との厳しい戦いに直面しており、ライバルの多くはDoorDash(ドアダッシュ)やFavor Fleet(フェイバー・フリート)などのスタートアップと提携することで配達を行っている。
関連記事
・Uberがドライバーの顔認識チェックの利用で圧力を受ける
・Uberがコロナ収束後のドライバー不足対策で総額約274億円の報奨金を用意
・UberとLyftが新型コロナワクチン接種促進のための無料乗車提供を米国で開始
カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Uber、中南米、Cornershop
画像クレジット:Cornershop
[原文へ]
(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook )