Uberは常に彼らの秘密の方程式を最適化することを目指している。その方程式とは、Uberとドライバーの利益を最大にしつつ、乗客の支出を最低限に留めるというものだ。Uber内部ではこのことを「完璧なタクシー移動」と呼んでいると聞いた。
この方程式の両端は根本的に相容れないように見えるだろう。ある意味それは正しい。しかし、Uberはタクシー移動の全ての部分を最大限効率化することで、ウィン・ウィン・ウィンの関係を作ろうとしている。つまり、無駄なガソリンを使わず、最も近いルートで、最短の予想到着時間を実現し、ドライバーが次の乗客を乗せるまでの時間と距離を最小にする。
Uberが最近行ったプロダクトアップデートの多くは、この完璧なタクシー移動を実現するためのものだ。本日、彼らはさらにその目標に近づくための新機能をローンチした。これはドライバーが乗せている乗客のタクシー移動が終わりに近づいた時点から、付近にある次の配車依頼を受け取り、承認することができる機能だ。
これは、空いているUberは遠くにあり、最も近いUberには他の乗客が乗っているが、タクシー移動は間もなく完了する予定の場合、近いUberが配車されるという仕組みだ。タクシーの配車依頼をしたユーザーに応えるのは、5分先の空いているタクシーではなく、1分ほど離れた所で前の乗客のタクシー移動を終えようとしているタクシーということだ。
先週末、サンフランシスコで私の配車依頼に応えた車から前の乗客が降りるところを見かけた。ドライバーに尋ねると、前のタクシー移動の途中で私の配車依頼を受け取ったと話した。Uberにこの機能について問い合わせたところ、Uberはこの機能を限定的に検証していたことを認め、世界中でも展開するとした。彼らの声明は以下の通りだ。
タクシー移動が終りに近づいてきたら、ドライバーは次の配車依頼を受けることができる新機能を実装し、世界各地にも展開する予定です。付近にある新規の配車依頼を、タクシー移動の途中でも受けられるようにすることで、乗客を降ろしてから次の依頼があるまでの余分な時間を削減することができます。乗客にとっても到着予定時刻が短くなり、プラットフォーム全体の効率が良くなります。
完璧なタクシー移動の10ステップにこの連続配車機能(back-to-back rides)と他の機能がどう組み込まれるかを見てみよう。
- 乗客はピックアップの場所と目的地をタイプしなくても、以前入力した場所の一覧から場所を選択することができる(最近使用したアドレス機能)
- Uberは乗客に付近で最も便利で安全なピックアップ場所を探すのを手伝う(ピックアップ場所の提案機能)
- Uberのドライバーは乗客を乗せていても、付近の配車依頼を受け取り、次の乗客のタクシー移動を請け負うことができる。(連続配車機能)
- ドライバーが最終的に向いたい場所の付近にたどり着くようにルートが組まれる。これでドライバーが自宅から遠くはなれた場所で仕事を終えるということがなくなる。( ドライバーの目的地機能)
- 乗客がいる位置までの最適なルートでドライバーが乗客を迎えに行く。(Uberのマッピングソフトウェアによるもの。新型のカメラカーでマッピングソフトウェアの開発と改善を行っている。ただ、まだ多くのドライバーはまだサードパーティーの地図を使用している。)
- 乗客は車が到着すると同時に屋外に出て車に乗り込むことができるよう、車が到着する少し前に通知を受け取る。これでドライバーは乗客を待つことがなくなる。(Uberは今後それぞれの乗客が乗り込むまでどの程度時間がかかるかをトラックし、時間のかかる乗客には早めに通知するといったことができるかもしれない。)
- 道を行ったり来たりして車を探したり、車を間違えることなく、乗客はUberの車を簡単に見つけて乗り込む。(Uberはドライバーと乗客が互いに見つけやすいよう、ドライバーの車や乗客のスマホに何かしらのサインを送ることができるかもしれない。)
- 目的地までの最適なルートを提示することで乗車時間を短縮し、使用するガソリンを最小限に押さえる(これも、Uberのマッピングソフトウェアのおかげだ。)
- 乗車体験は快適でパーソナライズされたものになる(UberとSpotifyの連携で、乗客は音楽を選択することができる)
- ドライバーは乗せている乗客を送り届けた直後に次の配車依頼を応えることができるようになる。この繰り返しだ。
UberPoolの乗り合いの仕組みでは一層複雑になるが、通常のタクシー移動における完璧なタクシー移動がどのようなものかは分かると思う。Uberにとって、効率化は時間が経過するほど価値を生む。
Uberにとって、ユーザーを目的地に素早く送り届けるほど、供給側であるドライバーを次の配車に回すことができるようになる。この機能で予想到着時間はさらに短縮することは、ユーザーにさらにタクシーの配車依頼をすることを促すことにもなるだろう。Uberはそこから一律手数料を獲得することができる。
ドライバーにとってこの仕組みは働いている時間の中で、代金が支払われない配車依頼の合間の移動分のガソリン代を削減することにつながる。つまり、同じ時間車に乗っていたとしても収入を増やし、コストを押さえることができるということだ。Uberがドライバーへの支払いの割合を高めなくてもそれが実現する。ドライバーが配車依頼を多く受け取れることで、どの時間帯のドライバーの供給も増やすことができる。さらにリテンション率を高め、Uberにとっては新規のドライバーを採用するコストも減るだろう。
乗客にとってこの機能の実装で、タクシーを配車してから目的地に着くまでの時間が短縮することになる。追加料金を支払ったり、相乗りしなくてもよい。
Uberの規模なら、各タクシー移動で数秒、数メートルを短縮するだけでも積もり積もって大きな利益になるだろう。Uberのプロダクトがどの方向に向かっているか知りたいのなら、現在のタクシー移動を考え、それをいかに完璧なタクシー移動に向けて改善できるかを考えてみると良いかもしれない。
可能性としては、ユーザーにさらにパーソナライズした快適なタクシー移動を実現することが考えられる。ユーザーのドライバーとのやりとり、エンターテイメント、天候、好みに応じてパーソナライズするということだ。また、道で乗客がUberの車をすんなり見つけられるようにするためにドライバーの車や乗客のスマホに互いを識別するサインを出す機能などもありうるだろう。また、例えばレストランのレビューアプリといった位置情報に特化したアプリから、UberのAPI経由で瞬時にタクシーの配車依頼を出すこともできるようになるだろう。
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