VRコンテンツの検索方法を探るSVRF

【編集部注】著者のAlice Lloyd GeorgeRRE Venturesの投資家。先端技術のリーダーたちと対話を行うポッドキャストシリーズFluxのホストでもある。

ウェブサイトのためにはGoogleがある。動画のためにはYouTubeが。各種プロダクトのためにはAmazonが。一般的なレファレンスのためにはWikipediaが。そしてGIFファイルのためにはGiphyが。ではVRやARデバイスが主流になったとき、探求を待つ新しいコンテンツたちが溢れることを想像してみよう。私たちはこの、勇敢で新しい3D世界で、どのように探し物を見つけるのだろうか?

Fluxのためのインタビューとして、私はSVRFの共同創業者兼CEOのSophia Dominguezに話を聞いた。SVRFはオーブンベータが公開されたばかりのVRコンテンツ検索エンジンだ。

Sophiaが語った内容は多岐に渡る。何故消費者たちはVRを恐れているのか、彼女はそのバリアをどのように打ち破ろうとしているのか、何故検索ランキングで「目眩」ファクターが重要なのか、SnapchatがARへのギャップを埋める方法、そして何故FacebookのVRプライバシーポリシーが憂慮すべきものなのか、などだ。Sophiaはまた、業界の中で、女性である故の課題についても語った。また会社をニューヨークに設立することは、シリコンバレーのバブルの中で起業するよりも、現実的なチェックを行うには有利であること、VRゾンビが珈琲の代替品として素晴らしいものの理由、そして奇抜なVRアートの素晴らしさについても語っている(以下の記事はPodcastからの抜粋である)。

それでは、あなたの会社であるSVRFについての話をしましょう – ちょうど新しいプロダクトをローンチしたばかりですから、とてもエキサイティングなタイミングだと思いますが。あなたは、目標はVRを皆のものにすることだと仰っていて、ウェブ上のすべてのコンテンツのインデックスとキュレーションを行っています。つまり360度写真、360度ビデオ、そして3D体験ということですが。それは、VRのための検索エンジンを構築するために何を意味するのでしょうか?

Sophia Dominguez(SD):はい、その目的のために私たちは今コンテンツのインデックスを作成する必要があるのです。私たちは仮想現実コンテンツをホストしていたり、APIと統合していたり、あるいはコンテンツを取り出すためのカスタム手段を提供している特定のサイトの内容を見ています。どのサイトがVRコンテンツを持っているかは調べれば良いだけの話ですが、開発者の立場からインターネットをクロールするために必要な、どんな種類のコンテンツが存在していて、どのように見えているかに関する十分なデータもいつかは集まると思います。

私たちがこの仕事を始めたときに認識していなかったことの1つは、世の中にはどれほど悪いコンテンツがあるかということでした。考慮しなければならない、要注意のコンテンツが沢山存在しています。たとえばウェブ上のコンテンツを見て、へえこれは面白そうと思っても、ヘッドセットを装着してみたら、気分が悪くなってしまう可能性もあるのです。こうしたことも私たちのランキングは考慮しています。ヘッドセットを使ったときに快適に楽しめるかどうかということですね。

Alice Lloyd George(AMLG):そのコンテンツがあなたに吐き気を催すようならインデックスもランキングも下がってしまうということですね?

SD:はい。私たちはときどきSlackチャンネルで、リンクを配信していますが、もし誰かがその内容をみて気持ちが悪くなったと言った場合には、ポイントが自動的に下がります。もしウェブ上でそれを見るだけで、気持ちが悪くなるようなら、それは良いものとは言えませんよね。

AMLG:その通りですね、ヘッドセットで見るまでもない。さて、ウェブサイトのためにはGoogleがありますし、動画のためにはYouTubeがあって、GIFのためにはGiphyがあります。あなたはSVRFが、VRのために同等の役割を果たすと考えていますか?

SD:それこそが、私たちが望み、目指しているものです。

AMLG:現段階ではどのくらいの対応コンテンツがありますか?大体の数を挙げていただくことは可能でしょうか?

SD:360度という意味では、おそらく10万点ほどのコンテンツですね。3Dという意味ならもっとあって、おそらく数十万点でしょう。しかし、公平のために言っておくと、ほとんどのコンテンツは興味深いものではありませんよ。3Dについて考えて下さい。例えば靴のインデックスを作るとします、靴を見たいなんて、実際に何か買おうと思うまで意味がありませんよね。これが私たちが控えめにやってきた理由なのですが、来年には公開を開始します。それは消費者たちにとって異質な体験です、人びとは他の人たちや友人たちを手掛かりにしていますが、それに突然3D体験が加わると…今私たちはインタビューのためにオーディオスタジオの中にいますけど、もしオーディオスタジオをインデックスに含めたとして、それを使ってどうすれば良いでしょうか?私たちは、そうしたシナリオがどのようなものなのかを考え、今やることだけでなく、消費者向けに最善の方法で私たちがエコシステムを構築するために、この先の数年でやることも考えるようにしています。

AMLG:その通りですね。例としては靴を見つけたり、オーディオスタジオを見つけたりすることができます。例えば、それらを皆まとめることができれば、理にかなっているように思えます。そし、検索を行う際に「そうねオーディオスタジオの中に居たいわね、一緒に居るのはSophiaで、靴やなにかも一緒に」と指定できるとか。もっと良い例があると思いますが…例えば推理ゲームのクルードのような感じで、「Mustard大佐と一緒に、スパナを手に、図書館の中に居る」…といったように全てが織り込まれているような検索が行えるようなものですね。単なる物や、場所ではなく、ソーシャルなものでなければなりません。あなたの検索エンジンはそうしたことに対応するのでしょうか?こうした全ての要素を使った検索体験を実現できるのでしょうか?

SD:はい。わたしたちはそうしたことを行い、ソーシャルVRやARアプリケーションの中に機能をプラグインして、人びとに優れたコンテンツを提供するためのAPIを構築しています。そして、ソーシャルな部分は他の会社にお任せしたいと思っています。ちょうどGiphyがメッセージングでそうしているように。

AMLG:ということで、構想なさっていることの1部は、誰でも「さあピラミッドの麓に行きましょう」と言えるようになることですね。ハイエンドにはOculus RiftやViveの数十万人のユーザーがいます。その下のクラスだとGearやDaydreamのようなもので、おそらくユーザーは数百万人。そしてGoogleが売ったCardboard…25ドルの紙製の製品…が数千万個。SVRFでは、最初人びとがモバイルやデスクトップを利用することを想定していると思うのですが、そう、その数は数億ですよね。それは狙っている層ですか?

SD:ええ。それはほとんどの人が現在やっていることとは異なるものです。でも数週間のうちにリリースされる私たちのモバイルプロダクトがあれば、試せるようになるでしょう。私たちは、当社の製品を(利用者へ広い間口を提供して誘い込む)漏斗のへようなものと考えています。最初に私たちがローンチしたものはChrome拡張機能でした、それは新しいタブを開く度に360度写真を表示するようなものです。私たちにとって、それが日々ユーザーに360度コンテンツに馴染んでもらうための最も簡単な方法でした。そしてそこから、他のプロダクトへと導いて行くことができます。モバイルが登場してきたとき、私たちは何が人を仮想現実の中に向かわせるのかについての理解ができるようになりました、そしてウェブをバックボーンとして、何が人に仮想現実コンテンツをシェアさせるのかを。

AMLG:それがタブのアイデアなのですね。どうすれば消費者たちに360度体験に馴染んでもらえるのか?そこで出たアイデアが、ブラウザに追加していつでも体験できるようにしておくと?という問いに対応するための。

SD:はい、その通りです。私たちが、皆にVRや360度コンテンツについてもっと意識してもらうために、どのようなことをすれば良いかを考えていたときに、私たちはいつでもコンピューターのスクリーンを見ているし、新しいタブを開く度に広大な「土地」がそこにあるということに気が付いたのです。技術的に言えば、VRの中にいるときには、自分の周りのスクリーンを見ているということです。では、普通の状況でそれに匹敵することって何でしょう?それはコンピューターのスクリーンそのものです。そして、私たちはどのようにそのスペースを活用することができるでしょう?それはタブを開いたときに見せればいいね、ということに気が付いたのです。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。