低価格で本格的なVR体験を可能とするスタンドアロンのヘッドセットOculus Questの登場はVR領域のスタートアップにとっては大きなチャンスだ。
VR用触覚デバイスを開発し提供するexiiiは「触覚に欠かせないハンドトラッキングや6DoFコントローラを含んだスタンドアロンのヘッドセットが普及価格帯で市場に出始めており、触覚を扱うための環境が整いつつある」と説明した上で、同社のプロダクト「EXOS Wrist DK2」を半額にすると発表した。
EXOS Wrist DK2はVR/AR内でバーチャルオブジェクトに触れることを可能とする、触覚ウェアラブルデバイス。手首の前後方向と左右方向の二方向へ力を加えることで、さまざまな触覚を提示する。Vive ControllerやOculus Touchなどのコントローラーと組み合わせて使用することもでき、これにより既存のVRコンテンツに触覚を付与するような拡張にも対応可能だ。
EXOS Wrist DK2は「製造業におけるデザインレビュー」や「作業トレーニングなどの用途」で主に大企業が導入。だが、これまでは、EXOS Wrist DK2以外にもVR用のヘッドマウントディスプレイやVR対応PCの購入が必要だったため、企業にとって「気軽に導入するにはハードルが高い状態」だった。
そのため、exiiiにとってQuestの登場はある種のパラダイムシフトだと言えるだろう。
exiiiのCOO、金子大和はTechCrunchの取材に対し、「VR空間での触覚体験において、手の位置の正確なトラッキングはとても重要な要素となる。今回のOculus Questの発売は普及価格帯でそれを実現する、業界でも重要なマイルストーンだ」と話した。
「空間を自由に動けるVR体験がより多くの方に届いていくであろうこのタイミングで「VRに触れる」という更に一歩先の没入体験も同時に広げていければと思う」(金子)
これまでEXOS Wrist DK2の販売価格は60万円だったが、本日より半額の30万円となる。レンタルの場合は、これまでと変わらず月額5万円。exiiiは近日中にQuest対応のソフトウェアをリリースする予定だ。
exiiiは「2019年7月には触覚分野における代表的な国際会議であるIEEE World Hapticsが日本で開催されるなど、触覚技術は大きな盛り上がりを見せている」と説明していた。