WeWorkが語る未来の働き方――グローバル展開する彼らならではの強みとは

11月16日、17日で開催中のTechCrunch Tokyo 2017。このスタートアップの祭典でトップバッターとして登壇したのがWeWork日本代表のChris Hills氏だ。Chris Hill氏は2010年のWeWork創業直後に入社し、同社で初めてのCOOに就任した人物である。

ソフトバンクとのジョイントベンチャー設立によって日本に進出すると発表したことが大きなニュースとなったWeWork。「ついに上陸―、2018年始動のWeWork日本代表Chris Hillが語る新しい働き方と生活のムーブメント」と題したセッションで、Chris氏はWeWorkが考える新しい働き方について語ってくれた。

未来の働き方

「デザイナーや建築家に巨額のお金を払って建てたオフィスをもつのではなく、そこにあるチャンスやニーズに応じて柔軟にオフィスを構えるという未来がくる」とChirs氏は語る。

2010年の創業で今年7年目を迎えるWeWorkは現在、19カ国178地域でコワーキングスペースを展開している。これまでにWeWorkメンバーに登録したユーザーは世界中で16万人にものぼる。それだけのユーザーから支持を集める理由について彼はこう語る。

「WeWorkでは、そこに集まるスタートアップと大企業の間にコラボレーションが生まれるだけでなく、大企業の内部の人々とのあいだに存在するインターナル・バリアも取っ払うことができる」(Chris氏)

Chris氏はメンバー同士の間でコラボレーションとイノベーションが実際に生まれた例についても話してくれた。その概要はこうだ。

オランダに夫婦で花屋を営んでいるWeWorkメンバーがいた。彼らはアメリカでビジネスを展開しようと考えアメリカにやってきたが、花屋である彼らは全米の家庭にチューリップを届ける方法を知らなかった。そこで彼らは、WeWorkのコミュニティアプリのなかで自分たちがチューリップの宅配事業を展開したいことを伝え、一方でディストリビューションについての知識やアイデアが足りないので誰か助けて欲しいと呼びかけた。

すると、世界中にいるWeWorkメンバーたちが彼らの呼びかけに答えた。チューリップを届けて配達依頼まで行うアプリを作ると申し出たのだ。その結果、そのオランダ人夫婦はアメリカに移住して約3ヶ月程でビジネスを作り上げることに成功した。

グローバルコミュニティメンバーシップ

オランダ人夫婦の話は、グローバルで展開するWeWorkならではの強みを表す良い例だろう。Chris氏自身もWeWorkのことをただのコワーキングスペースではなく、「Global Community Membership」と呼ぶ。WeWorkのメンバーになれば、一定の場所に留まって仕事をする必要はなく、世界中に散らばるオフィスに行き“Plug in & Play”で仕事ができる。メンバーにとって、世界中が仕事場になるのだ。

グローバル運営で培ったオフィス効率化のノウハウもWeWorkの強みの1つだ。「何が重要なのか。何をすれば効率化できるのか。メンバーは何時にオフィスに来ることが多いのか。何人が高級コーヒーを飲むのか。何人がコーヒーではなく紅茶を飲むのか。そういったことを知ることで、WeWorkのオフィスはどんどん効率的なものになっている」とChris氏は言う。

2018年、WeWorkのグローバル展開網に日本が加わる。WeWrokは2018年1月に1オフィスを開設し、つづく4月には銀座と新橋に2店舗を開設する予定だ。

投稿者:

TechCrunch Japan

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