Yコンビネーターのデモデーは今回もバーチャルだがライブでストリーミング中継

投資家やファウンダーらのフィードバックを受け、Y Combinator(Yコンビネーター)はリモート世界で行うデモデーの方法を変更する(Y Combinatorリリース)。米国時間7月28日にY Combinatorは、デモデーのバーチャル開催継続を発表したが、事前録画したプレゼンの配信ではなく、プログラム全体をライブでストリーム中継する。

Y Combinatorはメールで、フィードバックには「ファウンダーらはライブのデモデーに向けた準備で生まれる絆を喜んでいる。投資家はファウンダーが自分のビジネスを説明するところを見たい」という声があったことを伝えた。

「我々はライブのデモデーがファウンダーのYC体験にとって重要な部分であると決断した」とY CombinatorのCEO Michael Seibel(マイケル・サイベル)氏がブログに書いている

第31回デモデーはZoomによるライブで行われ、クラスは2日間に分けられる。各社は1分間のプレゼン時間を与えられ、スライドはサマリー1枚のみ。説明やチームの略歴は参加者向けにウェブに掲載される。参加できなかった人のために、録画が週末に公開される。

Y CombinatorはTechCrunchに、プレゼンテーションは西海岸時刻午前9時から正午までで、適宜休憩を挟むと語った。投資家はYC Demo Dayソフトウェアを通じて、過去のデモデーと同じように出資の意志を示したりファウンダーと連絡先を交換したりできる。

何年も前からデモデーの参加を遅らせてきたスタートアップも今回のデモデーでプレゼンを行う。デモデーのプレゼン延期はわりとよくあることで、ファウンダーがVCやテック報道関係者に向けて発表する準備を整えられない時に起きる。リモートの世界では、状況が正常に戻るまで(もちろん、そうなることがあれば)この方法を使うスタートアップもいるだろう。

リモートアクセラレータに参加しているファウンダーにとっては課題が残る。果たして新しい形式で出資を得られるのか?Y Combinatorによると、直近のクラスは新型コロナウイルス(COVID-19)による都市封鎖のためにプログラム全体をリモートで受けた最初の生徒たちだ。

ファウンダーたちがこのアクセラレータシーズンにまつわるあれこれ(未訳記事)を私に話してくれた。ファウンダーの1人であるMichael Vega-Sanz(マイケル・ベガ=サンツ)氏は、初めて参加するファウンダーにはバーチャルではなく物理的なアクセラレータに参加してエネルギーを感じることを勧める、と語った。

「我々もそうだが、競争心の強い人にとって、みんなの前で他の会社が活躍したり褒められたりするのを見るのはよいことだ」と彼はいう。「こういうと自己陶酔的に聞こえるかもしれないが、『絶対成功しなくてはならない』という気持ちになる」。直接競争することなど些細なことに思えるかもしれないが、ファウンダーは投資家と同じく、FOMO(Fear Of Missing Out、取り残されることへの恐れ)と対抗意識の中で成長していく。

Y Combinatorのライブ化は、プレゼン体験に刺激と真剣さをもたらす試みのように見える。Techstarsはパンデミックの初期にライブのバーチャルデモデー(Twitter投稿)を行い、動画サービスのCameoを通じてミュージシャンのIce-T(アイス-T)を登場させて参加ファウンダーたちを祝福した。

YCデモデーは8月24日、25日に開催される。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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