YouTube Liveは、先行サービスのTwitchに驚くべき勢いで迫っているが、両者が肩を並べるまでにはまだ時間がかかりそうだ。その一方で、YouTube Liveの未来が暗いというわけでもない。Streamlabsが最近発表したレポートも、ライブ動画配信自体は持続可能なビジネスであることを示唆している。
Streamlabsが自社のストリーミング・アシスタント・アプリを通じて入手したデータをもとに、過去半年間の成長率を見てみると、YouTube LiveがTwitchを上回っていることがわかる。YouTube LiveがYouTubeという人気サービスから派生したものであることを考えると、この結果は予想の範囲内と言えるが、このような新規サービスが十分なトラクションを獲得できずに終わるということもよくある。
最近のTwitchのMAS(Monthly Active Streamers:月間アクティブ配信者数)はだいたい25万人強を記録しているものの、その伸びに関しては、今月は5000人増、翌月は1万5000人増といった具合で間欠的だ。一方YouTube Liveは、初月に2万3000人のMASを獲得し、その数はこれまでに7万5000人へと増加。これはまずまずの成長率で、その勢いが衰える様子もない。
とは言いつつも、Streamlabsのシステム(多数の配信者が利用している)が直接関わっているチップ(投げ銭)収益に関しては、Twitchが全体の96%を占めている。
予想外ながらも嬉しい発見として、長い間ライブ動画を楽しんでいる人のチップ額は、最近ライブ動画を見始めた人よりもかなり大きいということがわかった。2年前に作られたアカウントの平均チップ額が80ドル以上となっている一方、新規アカウントの平均チップ額は約23ドルにすぎなかった。アカウントの保有期間が長くなるにつれて平均チップ額が増加するという傾向からは、ユーザーが動画視聴を趣味のようにとらえ、(他の趣味のように)徐々にそこにかけるお金を増やしている様子が見て取れる。
そしてユーザーからのチップが配信者の支えとなっており、動画配信からの収入で生活する人も増えてきている。同時に、スポンサーがついていない配信者の数も増加傾向にある。
業界動向について探るため、StreamalbsのCEO Ali Moizに話を聞いた。私が特に気にしていたのが、Twitchの成長速度が落ちたことで、ライブ動画配信ビジネスの未来に関する前向きな議論が妨げられてしまう可能性があるのではということだった。
これに関しMoizは、Twitchの成長のスピードが緩まってきたことには同意しつつも、その原因はむしろ健全な競争環境にあると言う。
「今ライブ動画配信を始めようとしている人には、数年前と比較するとかなりの選択肢が用意されています。当時は、ライブ動画配信をしたければTwitch、という感じでしたからね。今ではYoutube、Facebook、Instagramを筆頭にさまざまなサービスが揃っています」と彼は話す。
しかし、選択肢が増えたからといって、配信者や視聴者の数も増えるとは限らない。ライブ動画配信業界は、これからの5年間何を頼りに成長していくのだろうか?
「個人的には、ゲーム以外のジャンルが業界の成長の大部分を支えることになると考えています。モバイル端末を使ったライブ配信もはじまったばかりですしね」とMoizは語る。「旅行やファッション、美容、コンサート、食べ物(特に韓国で人気)あたりが特に注目のジャンルです。ゲームも引き続き少しずつ成長していくとは思いますが、これまでのような2倍、3倍というスピードにはならないでしょう」
Streamlabsのレポート(1月に最初のレポートが発行されて以降、四半期ごとにリリースされている)の全文は、Medium上に掲載されている。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)