米国時間5月7日朝、Zoomは暗号技術を専門とするスタートアップであるKeybaseを買収したことを発表した。買収金額は明らかにされていない。
Keybaseはすでに数年前から安全な情報共有や共同作業のための暗号化プロダクトを開発・提供している。 この買収はパンデミックによるZoomの急激な成長にともなうセキュリティ上の欠陥を修正し、信頼性を向上させるのに寄与するかもしれない。
Zoomはニーズの急増にともない、プラットフォームの多数のセキュリティ上の弱点が露呈し、公的機関での使用禁止や訴訟に直面してきた。同社はこの問題に全力で取り組んでいるが、社内に暗号専門家チームを置けるならプロダクトのセキュリティを高めるはずだ。
5月7日朝のZoomブログでCEOのEric Yuan(エリック・ユアン)氏は「Keybaseを買収した目的はユーザーにさらに高いレベルのセキュリティを提供するためだ」と述べている。新型コロナ危機により多くの業務がリモートワークで自宅から処理されるようになるにつれ、企業ユーザーにとってセキュリティは従来以上に重要性を増している。
ユアン氏はブログに次のように書いている。「この買収はZoomにとって非常に重要なステップだ。われわれは十分にプライバシーが確保された本物のビデオコミュニケーションのプラットフォーム実現しようと努力している。多様なユースケースに対応する柔軟性を維持しつつ、数億人規模にスケールアップできるようにすることが目標だ」。
ユアン氏は「Keybaseの暗号化機能が製品に組み込まれ次第、有料ユーザー全員が利用できるようになる。Zoomは、すべての有料アカウントにエンドツーエンドで暗号化されたミーティング・モードを提供する。ログインしたユーザーはZoomのリポジトリに保存した公開暗号鍵によるIDを利用してミーティング参加者間のコミュニケーションのセキュリティを確保することができる」と書いている。
この買収ではKeybaseはZoomの子会社となり、Keybase共同創業者のMax Krohn(マックス・クローン)氏はZoomのセキュリティチームに責任者となる。クローン氏はユアン氏の直属としてセキュリティ機能全般の開発の指揮を取る。Keybaseの24人ほどの社員はZoomに移籍する。社員の大部分はセキュリティを専門とするエンジニアだ。
現在提供されているKeybaseのプロダクトががどうなるかはまだ明らかではない。Keybaseでは「Zoomはこの問題を理解しておりKeybaseと共同で解決の方法を探っている」と述べた。
Keybaseは2014年に設立されたスタートアップでCrunchbaseのデータによれば1100万ドル(11億7000万円)弱のベンチャー資金を調達している。
画像:Getty Images
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)