ボーイングのベンチャーファンド、Boeing HorizonXとJetBlue Airwaysのベンチャーファンドが出資するスタートアップ、Zunum Aeroは近距離用ハイブリッド電気航空機を2020年までに就航させる計画を発表した。航続距離は当初700マイル(1100km)程度だが、2030年までに1000マイル(1600km)に延長する計画だ。これだけの航続距離があれば、アメリカではほぼあらゆるポピュラーな短距離路線をカバーできる。
Zunum Aeroが計画しているのは、地域ハブ空港へのトラフィックを増大させると同時に運用コストを大きく下げることができるような小型旅客機(10席から 50席)だ。 Zunumでは、たとえばロサンゼルスからシリコンバレーなどへのビジネパーソンの移動がはるかに効率的になるとしている。同社によれば、他の手段、高速道路や鉄道などによる移動はこの50年、実質的に進歩しておらず、きわめて遅いままだ。Zunumはこの状態を新しいハイブリッド電気モーターによって大きく改善しようとしている。
Zunum Aeroのコミューター機はA地点からB地点までの旅行時間のトータルに関して、乗客の多い路線では40%、乗客が少ない(したがって便数が少ない)路線では最大80%も短縮できるという。同時に運行コストも40から80%削減することを目標としている。これに比例して運賃も下がるはずだ。ハイブリッド電気モーターの採用により、従来のターボファン採用の機体にくらべて炭素排出も80%削減される。Zunumでは将来は完全なバッテリー駆動とすることを目指しており、その場合には飛行中に炭素の排出はゼロとなる。またZunum Aeroは騒音レベルも75%削減できるとしている。
ボーイングとJetBlueからの出資に加えて、Zunumのエンジニア・チームにはNASAが支援した電気航空機プロジェクトのリーダーを含み、またイリノイ大学の電気航空機の研究者とも提携している。2014年から電気航空機の耐空性に関してFAA〔連邦航空局〕と密接に協議を続けており、法規上の問題もクリアしていく準備を整えているということだ。
安くで静かでエコな空の旅というのはまさに夢のような話だ。 Zunumが計画しているようなスケジュールでこの夢が実現することを期待したい。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)