Techstars Musicが2021年期の参加企業とQuality Controlとの提携を発表

米国時間3月9日朝、Techstars Music(テックスターズ・ミュージック)は、新たに11社の参加を発表した。合わせてアトランタのメディア企業 / レコード会社であるQuality Control(クオリティ・コントロール)とのパートナーシップも発表している。

Techstarsは「Techstars」という名前でひと括りにしてしまいがちだが、実際には40以上のアクセラレータプログラムから構成されており、それぞれが独自の焦点とポートフォリオを持っている。これらのプログラムの多くは、Techstars Boulder(ボルダー)、Boston(ボストン)、LAのように特定の地域に焦点を当てている。また、スポーツ、宇宙、そして今回の音楽のように、特定の業種や業界に焦点を当てたプログラムもある。

では、この「音楽」に焦点を当てたプログラムとは、一体どのようなものがあるのだろうか。音楽制作ツールやアーティスト向けアプリだけではない。Techstars Musicのマネージングディレクターを務めるBob Moczydlowsky(ボブ・モクジドロウスキー)氏は、2020年のQ&Aで「我々は音楽関連企業に投資するのではなく、音楽のために問題を解決する企業に投資します」と述べている。

過去の投資先には、集中力を高めたり速やかに眠りにつくための「パーソナライズされたサウンドスケープ」を生成するEndel(エンデル)や、紙やデジタルのコンサートチケットを、会場の入り口に設置された顔認証装置で置き換えようとしているBlink Identity(ブリンク・アイデンティティ)などがある。

2021年期の企業をアルファベット順に紹介

555 Comic(555コミック):「バーチャルキャラクター」を開発し、ソーシャルメディアでストーリーを展開する(上掲のツイートのように)。1人のアーティストが複数の「ペルソナ」を持ち、扱うジャンルごとに異なるキャラクターが登場して、それぞれの生い立ちが進化していくというのを想像してみて欲しい(トリビア、日本語で「5」を声に出していうと「Go」に聞こえることから、その日本語の社名は「Go Go Go!」をもじったもの)。

BlackOakTV(ブラックオークTV):黒人クリエイターによるコンテンツに特化した定額制のオンデマンドビデオサービス。現在は月額4.99ドル(約540円)で、ほとんどの主要なプラットフォームに向けてアプリが用意されている。

Creative Futures Collective(クリエイティブ・フューチャーズ・コレクティブ):「恵まれない環境にある次世代のクリエイティブ業界のリーダーを発掘」し、仕事や有給インターンシップにつなげることを目的としたネットワーキング / メンタリングプログラム。

Fave(フェイヴ):アーティストの「スーパーファン」が互いにつながり、アーティストからの賞品を得るために競争することを目的にしたソーシャルプラットフォーム。

HappsNow(ハップスナウ):完全にホワイトラベル化されたチケッティングプラットフォームで、アーティストや会場がより多くの体験をコントロールすることができる。

Holotch(ホロッチ):既製の技術でボリュームのある3D映像を撮影し、それをライブ配信する。アーティストが撮影したライブパフォーマンスを、ファンは自分の家のリビングルームで、拡張現実のホログラムを通して観ることができる。

Music Tech Works(ミュージック・テック・ワークス):楽曲の権利を誰が持っているかを把握し、その楽曲を使用するための認可を取得するまでのカタログとワークフローを超簡略化したもの。

画像クレジット:Rares

Rares(レアーズ):試合で使われたシューズ、入手困難なシューズ、大量生産されなかったシューズなど、特に注目に値するスニーカーの共有権に投資するためのプラットフォーム。

Remetrik(リメトリック):音楽著作権に関わる(しばしば複雑な)会計処理を、シンプルで透明性のある方法で1カ所にまとめることを目的としたソフトウェアプラットフォーム。

先週のVoltaを使った@ImogenHeapのパフォーマンスのハイライトです! 1月中旬には、彼女のウェブシリーズ http://Hablab.tv でのパフォーマンスも予定されています。

ボリューム感のあるエフェクトは@_kzr(keijiro takahashi)氏のRcam libraryからのもの。

Volta Audio LTD(ヴォルタ・オーディオLTD):同社の表現によれば「あなたの音楽をインタラクティブな世界に変える」というコンセプトのもと、アーティストが没入型の複合現実的ライブ体験を構築するためのプラットフォーム。アーティストのImogen Heap(イモージェン・ヒープ)氏は、ここ数カ月のパフォーマンスでこのツールを使って実験を行っている。最近配信された動画の一部を上に掲載した。

Westcott Multimedia(ウェストコット・マルチメディア):音楽カタログに関連するイベント(アーティストの誕生日や、バイラル動画の背景に曲が使われたときなど)を探し出し、それに合わせてマーケティングキャンペーンを行う自動広告プラットフォーム。

最新クラスの企業と合わせて、Techstars Musicは、Quality Controlとの提携も発表した。Quality Controlは、Migos(ミーゴス)、Lil Yachty(リル・ヨッティー)、Lil Baby(リル・ベイビー)などのレーベルとして知られるQuality Control Musicのメディアハウスだ。Quality Controlは、Techstars Musicの「メンバー」企業(LPのようなもので、投資を提供したり、企業の審査に協力したり、参加が決まった企業に指導したりする)として協力する。

既存のメンバー企業には、Amazon Music(アマゾン・ミュージック)、avex(エイベックス)、Bill Silva Entertainment(ビル・シルヴァ・エンターテインメント)、Concord(コンコード)、Peloton(ペロトン)、Entertainment One(エンターテインメント・ワン)、Right Hand Music Group(ライト・ハンド・ミュージック・グループ)、Royalty Exchange(ロイヤリティ・エクスチェンジ)、Sony(ソニー)、Warner Music Group(ワーナー・ミュージック・グループ)などが名を連ねる。

モクジドロウスキー氏によると、Techstars Musicの卒業生企業は、2017年の第1期生以降、1億500万ドル(約114億円)以上を調達しているという。上記のグループは、2021年5月のDemo Day(デモデイ)を前に、すでに300万ドル(約3億2500万円)以上を調達しているとのことだ。

カテゴリー: VC / エンジェル
タグ:Techstarsアクセラレータープログラム

画像クレジット:TechStars Music

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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