チーフコミュニティオフィサーは、いまやCMOとも言えるだろう

コミュニティは単体のSlackグループや、イベント、ニュースレターではない。コミュニティとはこれらのタッチポイント全ての寄せ集めであり、顧客、最終的に顧客になる人、一度限りのユーザーを含んでいる。あまりにも漠然とした状況にある現状だが、リモートワークやデジタルコミュニケーションが私達の生活を支える中、企業はさまざまなチャネルにさらに目を向けている。著者の最近のツイートでは、細分化した顧客ベースを対象にすることが多いエドテックのような分野でも、いかにコミュニティが調和をもたらすかという点を強調している。

著者は2021年2月、スタートアップが実際にコミュニティのために予算を確保し始めており、セールスやマーケティングチームに費用をかけるのではなく、有意義な方法でコミュニティに投資しているという話をする機会があった。

「チーフコミュニティオフィサーは、いまやCMOである」とある創設者が私に言った。FelicisとSeven Seven Sixが率いたCommsorの最近の資金調達、シリーズAの1600万ドル(約17億円)について、同社の創設者であるMac Reddin(マック・レディン)氏と話をしたばかりだったため、私はその言葉に特に興味をそそられた。

コミュニティのアイデアには驚かされ続けているが、Commsorはコミュニティマネージャー達がそういったものへの予算、そして成果を無駄にしていないということを示すのに役立つ解決策を提供している。同氏によると、Commsorはコミュニティのオペレーティングシステムであり、それぞれのコミュニティがどのように見え、感じるかを企業が抽出するための支援をし、最終的には企業のセールスリードや収益へとつなげていくという。Commsorは例えば「Googleにあなた方のプラットフォームを使用しているエンジニアが3人います。Googleにかけあってエンタープライズ契約を結ぶか聞いてみましょう」というような提案ができるわけだ。このようなスイートスポットや、ボトムアップのコミュニティ採用者を見つけることが、Commsorの仕事なのである。

Commsorはまだプライベート・ベータであるが、昨年はコミュニティ予算を持つスタートアップ企業が「大幅に増加」したか、コミュニティ予算が増加したという。まだ曖昧な分野の急発展を目指すスタートアップには独自の課題が伴うのも事実だ。

Commsorは取引を学びたいと熱意あるコミュニティマネージャーを支援するためのC Schoolと、当該分野の企業を支援するファンドを立ち上げた。 また、 コミュニティスペースを定義することへのコミットメントを示すため、Hopin、Lattice、Notionなどの会社からの署名を載せたメモを投稿している。

「10年前のカスタマーサクセスや、300年前の収益業務を行っているようなものです」とレディン氏は言う。「人々はそれを気にしており、そこには役割があるものの、定義すべきことや成長すべき点はまだたくさんあります」。

コミュニティツールの市場マップ。画像クレジット:Commsor

投資家は競合他社にお金を投じるか?

CBDグミ、金融の配管、P2Pカーシェアリングなどなんであれ、投資家がスタートアップを支援するとき、投資家はその企業がその分野での勝者となることを理想として考えている。そのため投資家が競合するスタートアップにも投資した場合、それは良からぬ兆候であり評判を落とすことにもなりかねない。

Alex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)氏からの情報:ソフトウェア市場が成熟するにつれ、投資の場が競合他社への投資に開いていくかもしれない。これを便利な補完的投資と呼ぼう。

スタートアップのOliveがAmazonと競合

野心的な創設者であれば、設立初期段階に投資家やジャーナリストから頻繁に聞かれる質問がある。Facebook、Apple、Amazon、Netflix、Googleがあなたのスタートアップを作ったらどうなるか?この質問の裏にあるのは、たとえ巨大企業が何百万ドルもの資金とエンジニアチームを投入したとしても打ち勝つことのできない、創業者独自のユニークな解決能力を見極めたいという考えだ。

Jetの共同創設者であるNate Faust(ネイト・ファウスト)氏からの情報:2016年に同氏は事業をWalmartに30億ドル(約3187億円)で売却し、現在は持続可能なEコマース事業でAmazonと競合している。Oliveは買い物客が購入した物を再利用可能なパッケージにまとめて、1週間に一度配送するというサービスを提供している。

ファウスト氏は、できるだけ早く商品を届けようと努めるAmazonや他のEコマースサービスの逆を同社が行っているという事実を認識しているものの、同スタートアップの消費者調査によると、買い物客は別のメリットを得るために少し長く待ってもかまわないと考えていることが判明したという。

パイプライン問題の俗説を打ち砕く

有力者から従業員まで、シリコンバレーにおける多様性の欠如がパイプラインの問題の原因だとされてきた。つまり役割を満たすのに十分な資格を持った多様性のある人材がいないという考えだ。しかし最近の研究が、このマインドセットがいかに古くて間違ったものであるかということを浮き彫りにしている。レポーターのMegan Rose Dickey(メーガン・ローズ・ディッキー)氏が、AI Now Instituteで人工知能におけるジェンダー、人種、権力の研究を主導するJoy Lisi Rankin(ジョイ・リージ・ランキン)博士をインタビューした。

ランキン博士からの情報

パイプラインはすべてをサイロ化してしまっており、「私達はもっと多くの黒人女性をテック分野に迎える必要がある」とは言うものの、「これらの企業は人種差別主義者、白人至上主義者、女性差別者であり、こういった組織や大規模な社会および世界的資本主義構造が根本から変わる必要がある」とは言うことがない。

ランキン氏は、雇用や人事採用の透明性を向上させることが偏見を減らし、大切な情報を人材に伝える助けになり得ると付け加えた。

関連記事:Ethel’s Clubの創設者が有色人種向けソーシャル・プラットフォームSomewhere Goodを開設

カテゴリー:その他
タグ:コミュニティ コラム

[原文へ]

(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。