米国の連邦最高裁判所は、Trump(トランプ)前大統領がTwitter(ツイッター)で自身に反対する投稿をブロックしたことが合衆国憲法修正第1条に違反するとした過去の判決を無効にした。
2019年にマンハッタンの連邦控訴裁判所は、トランプ氏の行為が違憲であるとの判決を下していた。同裁判所は、トランプ氏がTwitterを「公務の遂行」と「一般市民との交流」のために使用していたことから、ユーザーをブロックするという同氏の決定が憲法修正第1条に反すると判断した。
「憲法修正第1条は、ソーシャルメディアのアカウントをあらゆる公務に利用している公務員が、その公務員に反対する意見を述べたことを理由に、その人物をそれ以外のオープンなオンライン対話から排除することを認めていない」と、3人の裁判官はこの判決で述べている。
最高裁が先行判決を無効としたことは、まったく予想されていなかったというわけではない。トランプ氏はもはや大統領ではなく、現時点でTwitterのアカウントを永久停止されているからだ。
関連記事:Twitterがトランプ大統領のアカウントを永久停止(米議会議事堂暴動から追放までの経緯まとめ)
予想外だったのは、Clarence Thomas(クラレンス・トーマス)最高裁判事が出した付随意見で、それは問題の本質をはるかに超えて、大手テックプラットフォームに対する斬新な批判にまで及んでいた。
トーマス氏は12ページの意見書の中で、トランプ氏のTwitterにおける行動から離れ、TwitterやFacebook(フェイスブック)などのデジタルプラットフォームが持つモデレーションの力が本当の問題であるとの主張を展開した。「言論が妨げられないようにすることを目的とするならば、より顕著な問題は、支配的なデジタルプラットフォームそれ自体ということにならざるを得ない」と、トーマス氏は書いている。
さらにトーマス氏は、ひと握りの意思決定者によるデジタルプラットフォームの「集中管理」に対する懸念を示し、デジタルプラットフォームがモデレーションの決定においてあまりにも大きな力を行使していると主張。「通信事業者の場合と同様に、この集中によって一部のデジタルプラットフォームが言論に対して巨大な支配力を持つことになる」と書いている。
米国時間4月5日に発表されたトーマス氏の意見は、通信品位法230条によってデジタルプラットフォームに与えられている保護を、もっと狭義に解釈して「削減」するべきであるというこれまでの同氏の主張を反映したものだった。
民主党が議会で主導権を握る中、一部の共和党員は、ビッグテクノロジーに対する批判を、そのモデレーションの力から、それらのサービスが精神的な健康にどのような影響を与えるかといった別の問題へと移しつつある。しかし、トランプ大統領が就任してから4年の間に醸し出された一連の不満は、最高裁判事のクラレンス・トーマス氏の中で生き続けている。
2021年1月には、トーマス氏の妻であるGinni Thomas(ジニ・トーマス)氏が熱烈なトランプ支持者であり、米国連邦議会議事堂に暴力的に侵入したトランプ支持派の群衆を応援したことで、批判にさらされた。
トーマス氏の意見に他の判事は参加していないが、同氏がテックプラットフォームのモデレーション決定に言及したことは、この問題がまだ枯れていないことを示している。
「我々は近いうちに、デジタルプラットフォームのような高度に集中した民間所有の情報インフラに対し、我々の法理がどのように適用されるかを議論せざるを得なくなるだろう」と、トーマス氏は警告している。
カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitter、ドナルド・トランプ、裁判、SNS
画像クレジット:Justin Sullivan / Erin Schaff – Pool / Getty Images (Image has been modified)
[原文へ]
(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)