放課後クラスのマーケットプレイスOutschoolがEdTech界で最も新しいユニコーン企業に

子どもの仮想校外活動を行う小さなグループのためのマーケットプレイスOutschool(アウトスクール)は、CoatueとTiger Global Managementが主導する7500万ドル(約82億円)のシリーズC投資を調達した。TechCrunchでは、この取り引きに詳しい筋から初めてこのラウンドについて聞かされていたが、同社はTechCrunchに対して、米国時間4月14日遅く、その事実を認めた。

この新たな資金により、Outschoolの評価額は13億ドル(約1400億円)に達し、1年も経たない前に確定した評価額およそ3億2000万ドル(約350億円)のほぼ4倍に跳ね上がった。

現在までにOutschoolは、今回のものを含め、ベンチャー投資1億3000万ドル(約140億円)を調達した。

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同社の評価額の成長曲線は、パンデミックの間に大きな成長を遂げたEdTech企業であることを加味しても、どのスタートアップよりも急勾配になっている。しかしCEOで共同創設者のAmir Nathoo(アミール・ナテュー)氏は、同社の新しい評価額では、昨今の資金調達熱に影響された部分は小さいと話す。今回の資金調達は、収益の安定性がおもな要因だと彼は考えている。

新たにユニコーン企業となった同社の主力製品は、娯楽や補習のための放課後の校外活動だ。継続的なクラスもあれば、単独のクラスもある。会社が大きくなるにつれて、継続的なクラスが事業全体に占める割合は、10パーセントから50パーセントに伸びた。これは、時とともにより安定した収益が増えていることを示唆している。

単独のクラスから継続的な利用へ移行することは、同社にとっても生徒たちにとっても良いことだ。前者の場合、経常収益は投資家の耳に心地よく響く。後者の場合、その活動やグループとの親密性を高める上で、繰り返しの参加は重要だ。ディベートや毎週末のゾンビダンスといった活動を行う継続的なクラスは、子どもたちにまたやりたいという気持ちを起こさせる。

最も人気の高いクラスはどれかと聞かれることが多いナテュー氏は、常に変化していると答えるようにしている。常連客、つまり子どもたちの興味はどんどん移っていくからだ。ある週は算数であっても、別の週はマインクラフトや建築だったりもする。

収益プロファイルが変わったことで、Outschoolは2020年の予約で1億(約108億円)ドル以上を生み出した。2019年は600万ドル(約6億5000万円)、2017年にはわずか50万ドル(約5400万円)だった。2021年に関してナテュー氏は「積極的な成長を予測している」と答えるに留めた。

Outschoolは2020年、予約の大量増加により一時的に正のキャッシュフローを達成したが、ナテュー氏によれば、その後変化したという。

「私の目標は、収益に手の届く距離を常に保つことです」と彼はいう。「しかし、市場の変化は激しく、長期的に採算が取れると思われる機会に積極的に投資することは、理に適っています」

次は何か

ナテュー氏は、2021年末までにOutschoolのスタッフを110人から200人に増やしたいと考えている。特に国際的な成長を見据えてのことだ。2020年、Outschoolはカナダ、ニュージーランド、オーストラリア、英国でもローンチされた。そのため、それぞれの現地やその他の地域での人材募集は続く。

反対に、Outschoolの教師の数は、パンデミック最盛期と同じように伸びているわけではない。パンデミックが始まったころ、Outschoolのプラットフォームには1000人の教師がいた。数カ月のうちに1万人を抱えるまでになったが、採用審査の過程で大量のリソースを消費した。しかし、それが不可欠だったとナテュー氏は説明する。Outschoolは、フルタイムの教師が増えれば収益も上がる。教師は、クラスごとに自分で設定した料金の70パーセントを報酬として受け取り、残りの30パーセントがOutschoolの収入となる。だがナテュー氏は、同社のプラットフォームを従来型の教育を補完するものと見ている。教師を説得してフルタイムで雇い入れ収益を拡大するよりも、プラットフォームにパートタイムの教師を増やすことで成長したいと考えているのだ。

Airbnb(エアービーアンドビー)がプラットフォーム作りに貢献する人たちと収益を分かち合うホスト救済基金を立ち上げたのと同じように、Outschoolは調達した資金の2パーセントを同様のプログラムに割り当て、流動性リスクに備えることを決めた。

Outschoolの目標の中でも、最も野心的なものに、皮肉に聞こえるが学校に入り込むというものがある。一部のスタートアップは、パンデミックの最中に学校に販売を行って成功しているが、学区内での販売サイクルと限られた予算のため、拡大を目標にするならばかなり厳しい事業となる。それでもOutschoolは、学校とその職員と契約を交わすことで生徒の生活と関わり合う道筋を付けたいと考えている。そうすれば、低収入の家庭でも同社のプラットフォームが利用できるようになる。ナテュー氏によれば、企業向けの販売は事業のほんの一部分であり、新型コロナ対策として2020年に始めたばかりの戦略に過ぎないという。現在同社は、B2Bサービスのパイロット事業を、いくつもの学校を相手に開始している。

Outschoolは、国際市場で消費者向け学習に焦点を当てたアーリーステージのスタートアップを買収することも検討している。まだ1つも実行されていないが、EdTech分野では、今や広範囲にわたって企業統合が熱い。

ナテュー氏は、Outschoolの成長は続くと強調する。たとえ学校が再開しても、パンデミック後の不安に対処する方策がすでに固まっている。

「人と直接対面する活動には、大きなスパイクが起きるはずです。みんなが今すぐやりたいことだからです」と彼はいう。「しかしその後は、今よりも分散した形に落ち着くでしょう。教育の未来はハイブリッドですから」。

さらに彼は、Outschoolのオンライン学習に対する信念は、創設前の構想段階から変わっていないと話す。同社は、単位取得のための、専門分野のデジタル学習にはチャンスを求めたことがない。ずっと、放課後の補完的活動で子どもたちを援助することに集中してきた。

「これは、教育システムのなかでも、あまり手の届かなかった、見落とされがちだった部分です」と彼は話す。「オンライ学習の利点は、利便性、コスト、そして地域によっては機会が得られないような学習内容の豊富さという面で、今後も存続します」。

カテゴリー:EdTech
タグ:Outschool資金調達ユニコーン企業コラム

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:金井哲夫)

投稿者:

TechCrunch Japan

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