電気自動車のCanooがオクラホマに工場を建設、2023年から生産開始

SAPC(特別買収目的会社)との合併を通じて最近公開企業となった電気自動車(EV)スタートアップCanoo(カヌー)は最大2000人が働く工場をオクラホマに建設する計画だ。新たにCEOに指名されたTony Aquila(トニー・アクイラ)氏が米国時間6月17日に行われた投資家向け説明会で明らかにした。

工場はオクラホマ州のタルサから約45分のプライアーにあるミッドアメリカ工業団地内の400エーカー(約1.62平方キロメートル)の敷地に建設される。Canooが「メガマイクロファクトリー」と表現する工場は塗装、修理、総組立のプラントを擁し、2023年の開所が予定されている。周辺には多くの製造・ロジスティック企業が立地している、とアクイラ氏は述べた。

「信じられないほど成長すると考えているハブです」と同氏はイベントで話した。「それに加えて、北米のロジスティックと動きのど真ん中に位置し、どこにでもアクセスし、日帰りできることはかなり重要です」。

初のEVを2022年第4四半期に発売すると明らかにしているCanooはまた、工場建設の間、最初の生産を行うためにオランダ拠点の委託製造メーカーVDL Nedcarと提携すると発表した。

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Canooの今回の発表の1年近く前に、オクラホマはTeslaの工場誘致で破れている。Teslaは東海岸の顧客に販売するCybertruck、Tesla Semi、Model Y、Model 3を生産する工場の建設地として最終的にオースティン近くを選んだ

「とても胸躍らせています。我々は売れ筋の州で、生産に最適なところです」とオクラホマ州知事のKevin Stitt(ケビン・スティット)氏は述べ、同州の電気代が米国で最も安いことも指摘した。同州の安い電気代はGoogleのような企業をひきつけてきた。Googleはプライアーでデータセンターを稼働させている。

Canooの投資家説明会は、同社のビジョンの特定のカ所にフォーカスしているエンジニア、デザイナー、役員らを特集した。同社は消費者と商業客向けのプロダクトに注力している。同社のすべてのEVは同じスケートボードを共有し、ユニークな車両とするために組み合わせ可能な種類の異なるキャビンと「トップハット」を使う。電気マイクロバスやピックアップトラック、B2B応用のためのものなど、すでにいくつかの車両を発表した。CTOのPete Savagian(ピート・サバジアン)氏によると、同社は従業員数も増やし、2021年第1四半期末で約435人になった。そして2021年末までに690人へとさらに増やす計画だ。

投資家説明会は、多難続きだった同社をアクイラ氏が舵取りするようになってから初の大きな公開イベントだった。

Canooは2017年にEvelozcityとして始まり、Faraday Futureの元幹部のStefan Krause(ステファン・クラウス)氏とUlrich Kranz(ウーリッヒ・クランツ)氏によって創業された。2019年春に社名をCanooに変更し、その数カ月後に初の車両をデビューさせた。ユニークな外観の車両と、サブスクでのみ提供するという初期計画で投資家とメディアの注目を集めた。同社はまたHyundai(現代自動車)と共同開発の提携も獲得したが、アクイラ氏の2021年3月のコメントによると、この取引は2021年初めにCanooが事業モデルを変更し、エンジニアリングサービスを他のメーカーに提供しないと決めた後に反故になった。

Canooはまた、共同創業者も失った。まずクラウス氏で、直近ではクランツ氏が社を去った。そして5月、同社は米証券取引委員会の調査を受けていることを明らかにした。5月17日に発表された四半期決算によると、調査は広範にわたり、特別買収目的会社Hennessy Capital Acquisition Corp.のIPO、Canooとの合併、Canooのオペレーション、ビジネスモデル、売上高、収益戦略、顧客契約、収益、そして直近の幹部の退職などが対象となっている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Canooオクラホマ工場電気自動車

画像クレジット:Canoo

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

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