「建設界のShopify」を目指すBrokreteは業界のDXを推進させる

パンデミックは、生活と産業のあらゆる面に影響を与えている。そして当然ながら、建設業界でもデジタル化が急速に進んでいる。建設のサプライヤーも、他の業界と同じく、もっと高いレベルで仕事せよというプレッシャーに日増しに迫られている。現在、DozerやReno Run、Toolboxといった企業がそれに対応しようとしているが、そのモデルは垂直統合に近くあまりオープンなものではない。しかしそれでも、建設企業はコンクリートやレンガが必要になるたびに仕入れの交渉をしなければならず、同時に記帳もしなければならない。

そこを突こうとするのがBrokreteだ。同社は「建設のShopify」を自称している。

Brokreteは今回、Xploration Capitalがリードするシードラウンドで300万ドル(約3億3000万円)を調達し、これには匿名の新たな戦略的投資家と既存の投資家も参加した。同社はY Combinatorの2020年の冬季を卒業した。戦略的投資家は、Ronald Richardson(ロナルド・リチャードソン)氏やAngeLlist VenturesのAvlok Kohli(アヴロク・コーリ)氏、そしてMaRS Investment Accelerator Fund(IAF)だ。資金は北米とヨーロッパの市場拡大に充当される。Brokreteはまた、建設業界のサプライヤーのためのeコマースプラットフォーム「Storefront」も立ち上げた。

同社の創業者でCEOのJordan Latourelle(ジョーダン・ラトゥーレル)氏は次のようにいう。「今の建設業はほとんどがオフラインで、レガシーのコマースを規範とする1兆2000億ドル(約132兆2180億円)の市場です。BrokreteのStorefrontプロダクトは、彼らの日々の操業を桁違いに強化するために必要なツールでサプライヤーを武装します。私がBrokreteを創業したのは、eコマースの巨人たちに無視されている業界を見たからです。今では我々は、建設業界のeコマースのためのオペレーティングシステムになりつつあり、あくまでも使いやすさと値頃感の両立を目指しています」。

Brokreteのプラットフォームは、コードレスでホワイトレーベル、マルチチャネルで、業界固有の販売と注文の管理をオンラインで行なう。サプライヤーはiOSやAndroidのアプリでeコマースを動かし、伝統的な顧客からのオフラインの注文を受け取る。また、アプリはオーダー管理と支払いと発送、ロジスティクスそしてリアルタイムでの配達を行なう。さらに財務とオペレーションのERPを統合している。Brokreteの主張によると、同社は現在、1000社あまりの請負建設企業を顧客としており、250社あまりのサプライヤーのネットワークを構築している。

「私たちは建設業界にShopify的に利用してもらい、自分のストアを持ってもらいたい。サプライヤーが自己のブランドと店を持ってもらいたいのです」とラトゥーレル氏はいう。

Xploration CapitalのゼネラルパートナーであるEugene Timko(ユージン・ティムコ)氏は次のように語る。「建設は、まだほとんどデジタル化していないサプライチェーンを抱えた巨大な業界として生き残っている数少ない業種の1つです。この業界が歴史的に抱えている主要な問題は、実際のストックへのリアルタイムのアクセスがないことであり、そのために生産者と流通業者とがオンライン化できないでいます。しかしBrokreteのようなエンド・ツー・エンドのソリューションがあれば、この業界もBrokreteのマーケットプレイスで販売できるだけでなく、自分自身のダイレクトなオンラインチャネルを作ることができます。それは、Shopifyが多くの人にネットショップを提供しているのと同じです。何千何万という、それまでオフラインだった企業が、オンラインでオーダーを受け取るようになるでしょう」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Brokrete建設DX

画像クレジット:Brokrete

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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