スウェーデンの自動車技術会社であるVeoneer(ヴィオニア)を、大手自動車部品メーカーのMagna International(マグナ・インターナショナル)が38億ドル(約4174億円)で買収するという話は、雲行きが怪しくなってきた。半導体・通信技術企業のQualcomm(クアルコム)が、米国時間8月5日、さらに8億ドル(約880億円)を上乗せした金額で買収を提案してきたのだ。
Qualcommが提案した46億ドル(約5053億円)の買収額は、1株あたり37ドル(約4064円)で、既に同社の取締役会から承認を得ており、株主投票は必要ないと同社は声明で述べている。VeoneerとMagnaは、7月に両社の取締役会が買収を承認したと発表していた。
Veoneerは先進運転支援システム(ADAS)を開発している企業で、高速道路を走行中の車線変更や緊急ブレーキなど、特定の条件下で限られた動作を自動的に行う車両のハードウェアとソフトウェアを手掛けている。ADASは、いわゆる「自動運転車」とは程遠いものの、現在販売されている新車の多くに搭載されている、人気の高い(そして現実的な)一連の機能である。
MagnaとQualcommの間で繰り広げられている入札合戦は、ADAS技術の将来的な有望性を示していると言える。どちらの企業も、ADASの一次サプライヤーであるContinental(コンチネンタル)やBosch(ボッシュ)との競争力を維持する手段を手に入れようとしているのだ。Qualcommの時価総額は現在1648億ドル(約18兆1020億円)で、Magnaは253億ドル(約2兆7790億円)。ただし、Magnaが応札するかどうかは現時点では不明だ。
市場はこの新たな買収提案に反応し、Veoneerの株価は水曜日から木曜日にかけて31.22ドル(約3429円)から38.20ドル(約4196円)へと7ドル(約769円)近く上昇した。7月23日にMagnaへの売却が発表される前は、Veoneerの株価は1株あたり19.93ドル(約2189円)だった。
Veoneerは、2018年に自動車安全システムサプライヤーのAutoliv(オートリブ)からスピンオフして誕生した会社だ。Autolivは2017年に、Volvo Cars(ボルボ・カーズ)と先進運転支援システムに特化したZenuity(ゼニュイティ)という合弁会社を設立したが、このベンチャーは昨年7月、ボルボとVeoneerに分割された。
このADAS開発企業は、Qualcommとも以前から関係を持っている。両社は今年1月に、ADASプラットフォームの共同開発に関する契約を締結した。
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画像クレジット:Veoneer
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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)