技術面接プラットフォーム「Byteboard」がGoogleの社内研究開発ラボArea 120からスピンアウト

企業の採用プロセスにおいて対面の前に行う技術面接を、ウェブベースのものに置き換えるサービスのByteboard(バイトボード)が、Google(グーグル)からスピンアウトすることがTechCrunchの取材で明らかになった。Byteboardは、Googleの社内研究開発ラボ「Area 120」で生まれ、CEOのSargun Kaur(サルグン・カー)氏が率いてきた。今回の動きにより、ByteboardはArea 120のプロジェクトとしては初めて、Googleの外に出て独立した会社となる。Googleによると、これは例外であり、ルールに基づくものではないという。

Googleは、今回のスピンアウトが、既存のArea 120チームやグループの将来の戦略に影響を与えることはないと話している。同社の研究開発部門は、自社のビジネスチャンスを広げる可能性が最も高いプロジェクトへの資金提供に引き続き注力するという。

今回のスピンアウトに加え、ByteboardはCowboy Venturesなどから、1000万〜1500万ドル(約11億〜16億5000万円)の範囲で新たに投資を受けた。だが、これは「バイアウト」ではないと思われる。Googleは新会社の株式を保持し、共同創業者のカー氏とNikke Hardson-Hurley(ニッケ・ハードソン-ハーリー)氏が引き続き指揮を執ることになるからだ。

「Byteboardが過去3年間、GoogleのArea 120の中で成長し、見せてきた進歩を目の当たりにして感激しています」とGoogleの広報担当はTechCrunchに対して語った。「Byteboardのソリューションは、優秀な技術者を評価・採用するために必要なツールを、高成長企業に効率的かつフェアに提供しています。我々はサルグン、ニッケ、そしてByteboardチームの他のメンバーと引き続き仕事をしていくことを楽しみにしています」と述べた。

2019年に発足したByteboardの構想は、技術面接を退屈なものにせず、より効果的にするツールを開発するというものだった。チームは当時、現在のソフトウェアエンジニア面接のプロセスは、その人が日々のエンジニアの仕事をどれだけうまくこなせるかを判断するという点で、あまり機能していないことに気づいた。面接では、スキルの実用性よりも暗記力が問われるため、準備に時間とリソースをかけられる人が有利になることが多い。

画像クレジット:Byteboard

Byteboardは、候補者に実際のコーディング環境を提供し、Java、Python、Ruby、C++、C#、JavaScript(node.js)、Go、PHPなどのサポートされている言語の中から選択できるようにした。

ウェブベースの面接はHTML、CSS、JavaScriptで行われ、モバイル面接はSwift(iOS)とKotlin(Android)で、データエンジニアリング面接はPythonとJavaで行われる。

同社のサービスには、面接プラットフォーム、20以上のソフトウェアエンジニアリングの必須スキルを網羅した質問集、そして事後評価が含まれる。経験豊富なエンジニアのグループが、面接の振り返りと評価を行う。評価過程から偏向を除外するため、評価は匿名で行われる。

2019年に始めてから、事業は軌道に乗った。新型コロナウイルスにともなうロックダウンの初期には一時的に低迷したが、企業が採用活動を再開した2020年第3四半期に勢いを取り戻した。Byteboardのウェブサイトによると、同社のサービスを利用しているのはLyft、Hulu、Figma、Imperfect Foods、PlayVS、Betterment、Robinhood、GoodRx、ETHOS、Ezoic、Glowforgeなどとなる。

面接プロセスを対面(新型コロナ時代の懸念の1つ)ではなくウェブで行うことによるメリット、データや評価の質、候補者にとってのストレスの少ない環境などに加え、企業のコスト削減にもつながる可能性がある。面接スタッフや結果を判断するエンジニアへの支払いが不要になるためだ。

だが、Byteboardの可能性は、Google傘下の製品のままでは限られていたかもしれない。

というのも、Google傘下のByteboardでは、エンジニアが人事評価の一部を担っていたため、Googleが他社の採用グループの一部となってしまっていたからだ。場合によっては、他社には直接競合する企業も含まれていた。これは明らかに、倫理的な問題を生む。一般的に、企業は自社の採用プロセスに競合他社を関与させないからだ。ByteboardがGoogleのプロジェクトではなく、独立したビジネスとして前に進もうとしているのは、そうした理由からだ。

関係者がTechCrunchに語ったところによると、Byteboardの総勢6名のチームメンバーのうち、数名は独立する会社に参画し、数名はGoogleに残って新たなプロジェクトに移ることを選択したという。Googleは、この取引の詳細については明らかにしていないが、Byteboardは今後も中核となる製品と業務に重点を置きながら拡大していくと述べており、今後数カ月の間にさらに詳細を発表する予定だ。

画像クレジット:Byteboard

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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