ウェブマーケティング施策を打っても、すぐに高い効果が出るとは限りません。高い効果を得るにはデータを分析し、課題を洗い出したうえで、ひとつずつ改善していく必要があります。
このとき重要となるのが、「コンバージョン分析」です。とはいえ、分析というと専門的なイメージがあり「どうやって分析すればいいの?そもそも専門家でなくても分析できるの?」と思った方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では
- コンバージョンをする際に見るべき箇所
- コンバージョンの具体的な分析方法
の2点について解説します。
コンバージョン分析とは
コンバージョン分析とは、
- どういった経路でコンバージョンしているのか
- どのページからコンバージョンされているのか
- コンバージョン率はどの程度なのか
といった、コンバージョン周りの分析作業のことを指します。
コンバージョンの分析をすることで、現状の施策がうまくいっているか確認しやすくなったり、コンバージョン率の向上につながる施策を検討しやすくなったりします。
例えば、「ウェブページから資料をダウンロードした数」をコンバージョンに設定したとします。資料ダウンロードは、「SEO記事→資料申し込みページ→入力確認ページ→資料申し込み完了ページ」の流れで遷移しますが、それぞれ以下のようなユーザー数だった場合はどうでしょうか。
- SEO記事:1,000人
- 資料申し込みページ:500人
- 入力内容確認ページ:1人
- 資料申し込み完了ページ:1人
「資料申し込みページ」に500人も訪れているにもかかわらず、「入力内容確認ページ」にたどり着いたユーザーは1人です。つまり499人のユーザーが入力をやめているため、入力フォームに問題がある可能性があります。
このように具体的なコンバージョンのデータを分析することで、改善点がわかりやすくなるのです。
コンバージョン分析では3つの数値の確認が重要
コンバージョンの分析をするといっても、実際どの数値をみてどんな分析をすればいいの?と悩んでしまう方も少なくありません。そこで、まずはコンバージョンを分析する際に注目すべき3つの数値を紹介します。
1 トラフィック数
まずは、トラフィック数を確認しましょう。トラフィック数とは、いわゆる「ユーザー数」や「PV数」などサイトにどのくらいのアクセスがあるか示す数値です。
Googleアナリティクスでは、「集客→すべてのトラフィック→チャネル」の手順でトラフィック数の確認ができます。
トラフィック数を増やすには、集客施策の実施や見直しが必要です。
しかし集客施策とひとくちにいっても多くの方法があり、狙うターゲットによって施策が合う・合わないといったこともあります。「工数をかけて施策を打ったあと、思ったような効果が得られなかった」といった事態を避けるためにも、事前に戦略を練ることが重要です。
集客の戦略を立てるときは、施策方法として以下5つの流れで進めることをおすすめします。
集客の戦略
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施策方法
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1.目標を具体的に設定する
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最終的なゴール(KGI)と具体的な目標(KPI)を設定しておく
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2.ターゲットを設定する
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顧客や営業担当に顧客像のヒアリングなどをして、ターゲットを明確化する
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3.ターゲットに最適な集客方法の選定をする
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ターゲットの目に届く施策を考え、集客方法を決める
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4.集客の施策を打つ
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決めた施策を実行する
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5.施策の成果を確認し次の施策を進める
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実行後のデータを分析し、次の施策を検討する
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2 目標ページへの遷移数
次に、目標ページへの遷移数も確認しましょう。目標ページへの遷移数とは、あるページからサイト内の目標ページ(コンバージョンするページ)へ移動した数のことです。
いくら流入数が多くても、コンバージョンにつながるページにユーザーが移動しないとコンバージョン数は上がりません。サイト自体に1万人のユーザーが毎月訪れていたとしても、コンバージョンにつながるアシストページのユーザーが100人しかいなければ、当然お問い合わせ数も低くなってしまいます。
コンバージョンにつながる目標ページにユーザーが遷移しているのか確認し、成果の上がっていないページを改善していくことが重要です。なおGoogle アナリティクスでは、「コンバージョン→目標→目標到達プロセス」の順で目標ページへの遷移数を確認できます。
遷移数が少ない場合は、流入の多いページに目標ページへつながるボタンやリンクを増やす施策などを試してみるのもおすすめです。
3 目標ページからのお問い合わせ数
最後は、目標ページからのお問い合わせ数を確認しましょう。
前述した流入ページから目標ページにユーザーがたどり着いても、
- 問い合わせフォームがどこにあるかわかりづらい
- ページ全体が読みにくい(理解しづらい)
- フォームへ入力する情報が多すぎる
といったことが原因で、ユーザーがページを離脱してしまう恐れがあります。
「目標ページの遷移数」と「最終的な問い合わせ数」を確認することで、どの程度取りこぼしが起きているのか把握できます。Googleアナリティクスでは、上記「2.目標ページへの遷移数」の確認方法と同じ手順で確認ができます。
またページ内の詳しいユーザーの動きを分析する場合は、ヒートマップなどのツールを活用するのがおすすめです。ヒートマップでは、ページのどのあたりでユーザーが離脱しているか、どこをクリックしているユーザーが多いのかといったユーザーの動向を分析できます。仮に「お問い合わせボタンを置いている位置にユーザーがいない」といったことに気づければ、ボタンの位置を改善するだけでコンバージョン数が向上する可能性もあるのです。
コンバージョンしたユーザーの傾向を分析する5つの方法
コンバージョンの分析は、前述した「3つの数値」も重要ですが、コンバージョンしたユーザーの傾向を分析することも非常に重要です。そのためここからは、コンバージョンしたユーザーの傾向を分析する方法を紹介します。ユーザーの傾向を分析する方法は以下の5つがあげられますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
図版
【方法1】サイトに訪れた数を確認する
前述したように、まずはサイトにどのくらいのユーザーが訪れているのかトラフィック数を検証しましょう。現時点でどの程度の流入があり、なかでもコンバージョンに至っている数はどのくらいなのかを確認することで、コンバージョン率が明確化します。
<コンバージョン率の計算方法の例>
コンバージョン率の算出の仕方は下記になります。
10(コンバージョン数) ÷ 1,000(ページの流入数)× 100 = 1%(コンバージョン率)
流入数、コンバージョン数、コンバージョン率が分かれば、ページごとのデータを比較してどこを改善すればコンバージョンがより増えるか検討しやすくなります。例えば、AとBのページがあり、以下のようなデータになっていたとします。
ページ
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流入数
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コンバージョン数
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コンバージョン率
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ページA
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1000
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10
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1%
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ページB
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1000
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50
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5%
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ページBの方がコンバージョン率が高いので、ページBの流入数を増やせばよりコンバージョン数を増やせる可能性が大きくなります。
【方法2】年齢層を確認する
次に、コンバージョンにいたっているユーザーの年齢層を確認しましょう。Google アナリティクスの場合、「ユーザー→ユーザー属性→概要」の順でどの年齢層が流入・コンバージョンに至っているか確認できます。
コンバージョンをしている年齢層をみて、元々想定していた年齢層と実際にコンバージョンしている年齢層が合っているか確認してください。
例えば、20代女性向けの製品を扱っているのに40代男性が多く集まっている場合は、設定したペルソナと集客施策のターゲットにずれが生じている可能性があります。ターゲットが大きくずれてしまっている場合は、集客方法や訴求方法はもちろん商品設計の時点で再考する必要が出てきてしまうのでしっかり確認しておくことが重要です。
【方法3】流入経路を確認する
年齢層のほかに、流入経路の確認をすることも非常に重要なポイントです。Googleアナリティクスの場合、「集客→すべてのトラフィック→チャネル」の手順で流入経路を確認できます。
それぞれの指標の意味は、以下の通りです。
- Direct:サイトに直接訪れた流入数
- Paid Search:リスティング広告からの流入数
- Organic Search:広告枠以外の検索流入数(自然検索)
- Referral:別サイトのリンクからの流入数
- Social:SNSからの流入数
- Email:メールからの流入数
- Display:ディスプレイ広告からの流入数
- (Other):その他の流入数
SEOの施策を打っている場合は「Organic Search(自然検索)」を確認し、リスティング広告の施策を打っている場合は「Paid Search(有料検索)」を確認します。実施している施策に合わせて、流入数がどのぐらいあるか検証しましょう。
【方法4】CV直前のページを確認する
4つ目の方法は、CV直前のページを確認することです。Googleアナリティクスでは「行動→サイトコンテンツ→すべてのページ→ナビゲーションサマリー」で開いたページで、指定したページの直前ページが確認できます。
ここで以下のように「お問い合わせページ」を指定すれば、お問い合わせページの直前ページが確認できます。
「直前ページの流入数を増やす」などの改善施策を検討しやすくなるので、おすすめです。
【方法5】コンバージョンしたユーザーにヒアリングする
最後に紹介するのは、コンバージョンしたユーザーにヒアリングをする方法です。ここでは具体例をお伝えするために、BtoB向けの経理管理システムを扱っていた場合を考えてみましょう。
経理管理システムの導入には費用がかかるため、社内で稟議を通す必要があります。稟議では「他の経理管理システムと比較」を整理する必要もあるため、ヒアリングすることで「他社と比べた自社の強み」や「比較した上で導入に至った理由」などが確認できます。
「でも顧客にヒアリングって、具体的にどうすればいいの?」と思った方もいるかもしれません。おすすめは、「ユーザー(顧客)に導入事例のインタビューをすること」です。顧客の紹介や宣伝をする名目でインタビューしつつ、ヒアリングもできます。また自社の導入実績もたまっていくため、営業などにも活用しやすいでしょう。もしもインタビューなどが難しい場合は、営業担当にヒアリングをするところから始めてみるといいかもしれません。
コンバージョンの分析は押さえておく点を知っていれば難しくない
「分析」というと一見難しそうなイメージがあるため、専門家に任せなければいけないと思いがちですが、見るべき数値さえ押さえておけば専門家でなくても分析はできます。「コンバージョンに至るまでのページごとのユーザー数」や「コンバージョンにつながるページの直前ページ」などを見ると課題が見つけやすいのでおすすめです。
コンバージョン分析で重要なのは3つの数値!その理由と改善策を解説は【SEO無料相談実施中!】ナイルのSEO相談室で公開された投稿です。