視覚障がいを持つ人のモビリティを強化するためスマート杖のWeWALKと提携したMoovit

世界的に人気の旅行計画アプリを提供するMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)プロバイダーであるインテル傘下のMoovit(ムーヴィット)は、視覚障がい者がより安全かつ効率的に目的地に到達できるようにするために、スマート杖の会社WeWALK(ウィーウォーク)と提携した。

WeWALKの研究開発責任者Jean Marc Feghali(ジャン・マルク・フェガリ)氏によると、WeWALKのアプリは、MoovitのTransit APIと統合される予定だ。このAPIは、視覚障がい者が公共交通機関を安全に利用できるようにするために、地域の交通機関の公式情報とクラウドソースの情報を組み合わせて、各旅程に最適なルートを導き出す。

今回の提携は、共有する電動スクーターや自転車をアプリ内に表示するための、Lime(ライム)、Bird(バード)、そして最近ではSuperpedestrian(スーパーペデストリアン)などのマイクロモビリティ企業とMoovitとの統合に続くものだ。また、Moovitは、交通不便地域の利用者のためのオンデマンド交通サービスや、自律走行型送迎サービスを提供するためにインテルのMobileye(モービルアイ)と提携するなど、新たなビジネスユニットを立ち上げている。

現在3400都市で展開しているMoovitは、あらゆる場所で、あらゆる人にサービスを提供しようとしているようで、その中にはもちろん視覚障がい者も含まれるべきだ。障がい者コミュニティ向けの交通技術は決して多くはないが、いくつかの有用なイノベーションが生まれ始めている。例えば、本田技研工業のインキュベーション企業であるAshirase(あしらせ)は、最近、WeWALKの杖に似た靴の中のナビゲーションシステムを発表した

杖自体は、シャフトを介してアナログ的に地上の障害物を検知することができるが、杖に取り付けられたスマートデバイスは、超音波センサーを用いて上半身の障害物を検知する。また、杖に内蔵された振動モーターによる触覚フィードバックにより、さまざまな距離の障害物を警告する。

「WeWALKは、バス停への道案内など、さらに多くのことができます」とフェガリ氏は、TechCrunchの取材に対し述べた。「Bluetoothを介して、スマート杖は、WeWALKスマートフォンアプリに接続します。このアプリは、最も包括的で利用しやすい視覚障がい者向けナビゲーションアプリの1つだと考えています。当社のアプリは、Moovitサービスと、当社が独自に開発したナビゲーションエンジンとアプリのインターフェースを統合して、徒歩や公共交通機関のナビゲーションや都市探索機能を提供します」。

ユーザーがアプリに目的地を入れてルートを選択すると、スマート杖は音声ガイドとロービジョンマッピングによってユーザーの旅を段階的に案内し、交通機関の停留所を指示したり、次の交通機関の車両が到着したことを知らせたりする。また、乗車時や目的の停留所に到着した際には通知されるため、利用者は自分が正しい停留所にいることや、降りるタイミングを知ることができる。

ユーザーにとっての一番の利点は、片手で携帯電話を持ち、もう片方の手で杖を持つ必要がないことだ。スマート杖の柄の部分にはアプリと接続されたタッチパッドが内蔵されており、ジェスチャーを使ってスマホを操作しながら、現在地の確認、交通機関の時刻表や近くの交通機関の停留所の確認、目的地までの移動などができる。

「例えば、ユーザーがインペリアル・カレッジ・ロンドンに向かう際には、スマート杖がルートの選択肢をアナウンスし、各段階に応じてユーザーを案内します」とフェガリ氏は述べた。「歩きの場合、WeWALKはバッキンガム・パレス・ロードを12時の方向に50m進み、3時の方向に右折してステーション・ロードに入りますとアナウンスします。地下鉄の駅では、WeWALKが電車の到着時に乗るべき電車を通知し、降りる必要がある前にユーザーに知らせます」。

今回の提携は、金曜日の国際障がい者デーに合わせたもので、視覚障がい者が雇用や教育、社会活動の機会を得るために、より自律的で自由な移動ができるようになることを期待している。

「目の不自由な方は、これまでにないほど自立した生活を送ることができているが、公共交通機関を利用して移動することはまだ困難で、圧倒されることもあります」Moovitのチーフグロース&マーケティングオフィサーYovav Meydad(ヨバフ・メイダッド)氏はコメントしている。「今回の提携により、移動手段の障壁を取り除き、人々に安心感を与え、より多くの機会にアクセスできるようになることを目指します」。

画像クレジット:Moovit

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Yuta Kaminishi)

投稿者:

TechCrunch Japan

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