Sounding Boardが管理職向けコーチングをサービスからSaaSへ移行

組織のリーダーと彼らに指導を行うコーチを結びつけるマーケットプレイスとしてスタートしたSounding Board(サウンディング・ボード)は、新型コロナウイルス流行初期の頃に、メンターシップの刷新が必要であることに気づいた。

「私たちはこれまで、伝統的なサービス形式でコーチングを提供してきました」と、Sounding BoardのCEOで共同設立者のChristine Tao(クリスティン・タオ)氏は語る。「そう、私たちはもうオフィスにはいません。だから人材やリーダーをどのように育てていくかについて、これまでとは違った話をする必要があるのです」。この洞察は、ユーザーをコーチと結びつけるだけではなく、ユーザーが継続的に目標を追うことができるソフトウェアプラットフォームの起ち上げにつながった。

画像クレジット:Sounding Board

このビジョンに基づき、シリーズA資金調達を成功させてから1年近く経った今、Sounding BoardはシリーズBを3000万ドル(約34億円)でクローズした。Jazz Venture Partners(ジャズ・ベンチャー・パートナーズ)が主導したこのラウンドは、Gaingels(ゲインジェルズ)の他、theBoardlist(ザ・ボードリスト)のSukhinder Singh Cassidy(スキンダー・シン・カシディ)氏、Ancestry.com(アンセストリー・ドットコム)のDeb Liu(デブ・リュー)氏、Udemy(ユーデミー)のYvonne Chen(イヴォンヌ・チェン)氏、DocuSign(ドキュサイン)のTammy Aguillon(タミー・アギロン)氏などのエンジェル投資家も参加した。これまでの投資家の中には、Canaan Partner(カナーン・パートナー)、Precursor Ventures(プレカーサー・ベンチャーズ)などが含まれている。

また、今回のラウンドでは、JAZZ Venture PartnersのJohn Spinale(ジョン・スピナーレ)氏が取締役に就任し、Sounding Boardの女性ばかりのチーム(および女性ばかりの取締役会)に加わることになった。「これは冗談ですが、私たちは実際に取締役会に多様性を加えなければなりませんでした……男性です」といってタオは笑った。

この資金調達は、Sounding Boardが過去7四半期にわたって、連続した成長を着実に遂げてきた結果によるものだ。タオ氏は収益の詳細については明らかにしようとしなかったものの、同社によると、過去の収益は「数百万ドル(数億円)」で、年間の予約件数は前年同期比で350%以上増加しているという。スティッキネス(粘着性)に関しては、Sounding Boardは同社の純収益維持率が200%を超えると主張。これはつまり、既存の顧客が時間が経ってもプラットフォームへの支払いを継続していることを意味する。

Sounding Boardの最大の競合企業であるBetterUp(ベターアップ)は最近、コーチングの背後にあるソフトウェアに、同じように焦点を移していることを示すような買収を繰り返している。Motive(モーティブ)を買収したのは、BetterUpのクライアントが、エンゲージメント調査や世論調査などですでに収集しているデータの背後にある感情的な背景を理解するために役立つからだ。このユニコーン企業はImpraise(インプライズ)も買収した。Impraiseは、リアルタイムのパフォーマンスレビューや、よりシームレスなフィードバックチャネルを通じて、管理職が直属の部下をよりよくサポートできるようにするためのテクノロジーを提供している。

BetterUpの成長は、投資家の間で、エグゼクティブトレーニングの重要性を高めることに貢献しているとタオ氏は考えているが、広範なコーチングツールよりも、よりリーダーシップに特化したサービスを提供できる余地がまだあると、同氏は見ている。Sounding Boardの共同設立者であるタオ氏は、2020年の間、精神的・感情的な状態をサポートすることで個人の能力を管理することに焦点を当てた多くのソリューションを目にしてきたという。例えばBetterUpの「care(ケア)」などだ。

「しかし、それと並行して、管理や効果的なコミュニケーションができる本物のスキルと能力も実際には必要です」と、タオ氏はいう。Sounding Boardでは、エグゼクティブトレーニングの能力面を解決することにより関心を向けており、現在のところはメンタルヘルス面に注力する計画はない。もちろんこれでは、競合他社が両方面に充実したソリューションを提供すれば、Sounding Boardからシェアを奪う可能性がある。今のところ、Sounding Boardの顧客はそちらの方面を意識してはいないようだ。

「(メンタルヘルスに関する)企業の福利厚生を考えると、それはもう少し無干渉なものではないでしょうか。用意されていれば、参加するかどうかを自分で選ぶという種類のものですが、それは従業員のためのものであるはずです」と、タオ氏はいう。「一方、能力開発に関しては、企業にとっての必要性があり、自ら投資したいと思うものであり、それを行う責任があるのではないかと私は考えます」。

Sounding Boardは現在、Plaid(プレイド)、Chime(チャイム)、Bill.com(ビル・ドットコム)など約100社ほどの顧客を持っている。

画像クレジット:Francesco Carta fotografo / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

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