ステランティスが車載ソフトウェアで年間約2.5兆円の収益を上げる計画を発表

Stellantis(ステランティス)はオランダ時間12月7日、同社の自動車に搭載するソフトウェアを使って乗員とドライバーにサービスや機能を販売または定額制で提供し、年間200億ユーロ(約2兆5600億円)の収益を上げるという野心的な計画を発表した。この狙いは競合他社の目標と一致するものだ。すべての自動車会社は、車両の販売、修理、融資以外の収益方法を模索している。

Fiat Chrsyler(フィアット・クライスラー)とフランスのPSA Group(PSAグループ)が合併した国際的自動車メーカーのステランティスは、2025年までに300億ユーロ(約3兆8400億円)以上をソフトウェアと電動化に投資すると発表した。その中には2024年までに4500人のソフトウェアエンジニアを雇用することも含まれる。

最終的な目標は、2030年までに3400万台のコネクテッドカーを走らせ、消費者に車両を販売した後も、そこから数年間、収益を得られるようにすることだ。この目標を達成するために、ステランティスはBMW、Foxconn(フォックスコン)、Waymo(ウェイモ)とのパートナーシップを活用する。同社によれば、現在は世界中にステランティスが販売した1200万台の「収益化可能な」コネクテッドカーが走っているという。なお、ステランティスでは「収益化可能」なのは新車で販売してから最初の5年間と定義している。

では、ステランティスは実際にどうやって収益化するつもりなのだろうか?まず、そのための基盤となるのが、同社が「STLA Brain」と呼ぶ電気 / 電子制御とソフトウェアのアーキテクチャだ。この基本システムは、車両の各部に搭載された電子制御ユニットと、その中心となる高性能コンピューターを高速データバスで接続し、それがクラウドに統合される。これによって、車載ソフトウェアのアップグレードを「OTA(over the air)」つまり無線で行うことができる。

ステランティスは、この「Brain(頭脳)」の基盤上に、Foxconnとの合弁会社であるMobile Drive(モバイル・ドライブ)が開発した「STLA SmartCockpit(スマートコクピット)」というプラットフォームを付け加え、ナビゲーション、音声アシスタント、電子商取引マーケットプレイス、決済サービスなどのアプリケーションをドライバーに提供する。なお、これとは別に、ステランティスはFoxconnと、専用のマイクロコントローラー・ファミリーを設計するための拘束力のない覚書に署名したことも発表した。このパートナーシップは、ステランティスの車両に必要とされるマイクロコントローラーの80%以上をカバーする4つのチップファミリーを開発することを目的としている。

そしてステランティスのソフトウェア計画で3つめの鍵となるプラットフォームが、BMWと共同開発した最高レベル3の自動運転を実現する「STLA AutoDrive」だ。これら3つのプラットフォーム(STLA Brain、STLA SmartCockpit、STLA AutoDrive)は、2024年以降に発売されるすべてのステランティス製の新型車に採用される。

ソフトウェアを自動車の中心的な要素とした最初の企業はTesla(テスラ)だった。同社は無線アップデートで、性能の向上やテレビゲーム機能などを提供したり、先進運転支援システムのアップグレードを可能にしている。しかし、他の自動車メーカーも以前から、日々収集される膨大なデータを利用して、オーナーに車内サービスを提供することに可能性を見出していた。

現在では、GMをはじめとする多くの自動車メーカーが、ドライバーが車内で利用したいと思うサービスを実際にサブスクリプションで提供できる技術力を備えている。しかし、これには賛否両論があることも事実だ。今まで車両購入時に一度だけオプション料金を払うだけでよかったシートヒーターやアダプティブクルーズコントロールの機能を使うために、継続的に料金を支払わなければならないサブスクリプションという方式に対し、消費者から反発の声も上がっているからだ。

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ステランティスは、ソフトウェアを使用して、自動車の所有者にサービスやサブスクリプションを提供するだけでなく、ある機能を使いたいときだけ使えるようにオンデマンドで提供することも計画している。また、法人顧客に対しては、データ・アズ・ア・サービス(サービスとしてのデータ)やフリート・サービスを提供する予定だ。例えば、同社はデータ収集能力を利用して、使用量ベースの保険プログラムを2022年に開始し、欧州と北米の金融部門を通じて提供すると述べている。

ステランティスによれば、今回発表されたソフトウェア戦略は、同社の車両ラインナップの電動化計画と連動するものであるという。同社は2021年7月、欧州における車両販売台数の70%以上、米国では販売台数の40%以上を、2030年までに低排出ガス車にするという目標を発表している。

画像クレジット:DENIS CHARLET/AFP / Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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