すべてのSEOキャンペーンが損益計算書を最優先しているわけではない。検索エンジンマーケティングを活用して、目標を達成しようとする政治活動、権利擁護団体、そして、非営利団体の数が増加している。
このタイプのキャンペーンにも同じメトリクスを当てはめたくなる。結局、トラフィックはトラフィックであり、コンバージョンはコンバージョンである。しかし、関心事をベースとしたキャンペーンは異なる効果をもたらすことがよくある。この種のサイトは、通常、別のタイプのコンバージョン – つまり当該の事柄に対する人々の気持ちを変える点に焦点を絞っているのだ。
定量化するのも、追跡するのも難しいはずだ。eコマースの成功を測るようにお金に換金することも出来なければ、どれほどの人の心を変えたかを知るため、トラフィックに頼ることも出来ない。
しかし、朗報がある。インターネットを利用し、決定を下す人が増えており、そして、その多くが検索結果の1位を完全な真実と見なしつつあるのだ。
関心事ベースのSEOキャンペーンは誰が行っているのか?
- 政治活動。 オバマ大統領以外にも巧みにオンラインキャンペーンを実施している政治家はいる。地域の政治キャンペーンは、重要な用語で上位に格付けされることで、または、関心を高めるために、戦略的にアドワーズの広告を用いることで、絶大な効果を発揮する。このタイプのキャンペーンは、オンラインの評判管理(候補者の名前で検索した際に1ページ目に表示される内容の管理)と従来のSEO(“無党派”が検索するキーワードを見つけて、そのキーワードで上位にランクインするためにコンテンツを獲得する)を組み合わせることが多い。
- ロビー活動団体。誰が「high fructose corn syrup」(高濃度のフルクトースコーンシロップ)の結果や「gun control」(銃規制)の結果を管理しているのだろうか?政治の支持団体は政治色の強い用語で上位にランクインするため、多額の資金をつぎ込むことがある。
- 慈善団体。 多くの慈善団体が、従来の活動と共に特定の見解を広げる使命を持っている(社会、宗教等)。また、多くの団体が、オンラインでの活動を寄付を募るために行っており、究極の使命を達成するための資金源を得ている。
- その他の支援団体。 誰もが意見を持っている。予算が絡む意見もある。実りの良い関心事ベースのキャンペーンの中には、特定の法律や見解を変えようとする団体によって実施されているものもある。
関心を煽るためにSEOを利用するべき3つの理由
1. SEOは、この類のキャンペーンに対して、ほかに例を見ない“メッセージコントロール”の力を持つ。大半のPRおよび広告キャンペーンは、「Tax Cuts」(減税)と「The Rich」(富裕層)、または、「Government Spending」(政府支出)と「Deficits」(赤字)等、2つのフレーズの間に自動的な相関関係を作ろうと試みている。
2. SEOは、この層関係をマッチすることは出来ないかもしれないが、次善策、つまり、強い反応をもたらさない用語を採用し、1ページ目にランクインすることで、同様の結果を得ることが出来る。
3. SEOは、PRやダイレクトメール等の従来の手法を補う効果がある。PRのヒットをリンクに変え – このリンクを使って、賛否両論のトピックに対する1ページ目の結果をコントロールすることが出来るなら、その他の宣伝目的のアクティビティの力を倍増させることが出来るだろう。同様に、ウェブサイト上の多くのヘッドラインやコール・トゥ・アクションのA/Bテストを実行し、効果の高かったものを多額のコストを要するダイレクトメールキャンペーンに利用することも可能だ。
関心事ベースのキャンペーンを行うには
関心事ベースのSEOキャンペーンは、通常のSEOキャンペーンとほぼ同じである。広範なキーワードリサーチで始まり、オンサイトの編集、そして、長期的なリンク構築へと移行していく。以下に重要な違いを挙げていく:
多くの関心事ベースのキャンペーンは、迅速に対応し ? 際どい問題の議論に一連のリンクや主張を捧げることで大きな利益を得られる。例えば、Peter G. Peterson Foundation(ピーター G. ピーターソン・ファウンデーション)のような団体は、赤字の減少に関する強力なリンクおよびホワイトペーパーを集め、このトピックを取り上げているジャーナリストやブロガーに公開している。ラピッドレスポンスキットは、ブログのコメント、特に価値が低い場所において、テンプレートとして役に立つだろう。
オーガニックな結果だけにとどまらず、グーグルグランツは非営利団体に無料のアドワーズ広告を与える。グーグルは、コストパークリックの上限を1ドルにする条件で、最高で1万ドル/月分のアドワーズのクリックを団体に与えている(コストパークリックが1ドルを少しだけ上回っている同様の用語を探すことで、非営利団体に寄付目的のトラフィックをもたらすキーワードを特定することが出来る可能性が高い)。
グーグルグランツの最適な利用方法は、関心事に若干関連しているトラフィックの多いキーワードを探し出し、ユーザーをさらにチャリティーを意識したトピックに導くランディングページ(オーガニックな検索にも利用する)を構築する方法である。
SEOが「関心事」キャンペーンを受け入れる理由
一部のSEO業者は、非営利団体のクライアントの仕事を嫌がる傾向が見られる。大規模なキャンペーンに必要な予算の持ち合わせがなく、オンサイトのコピーを最適化するのが困難な“メッセージに焦点を絞った”スタイルのサイトが多いからだ。しかし、この手のクライアントの仕事を引き受けるメリットは大いにある:
- 良質なケーススタディーを行える。 「芝生の手入れ用の商品の販売に手を貸した」、または、「弁護士のウェブサイトへのトラフィックを増やした」と言う自慢も悪くないが、自分の会社が実施したキャンペーンにより、「人々の暮らし向きがよくなった」、または、「人命を救った」と言う自慢の方が遥かに価値がある。
- お偉方と知り合うことが出来る。 多くの慈善団体は、地域の事業のコミュニティで活発に活動している委員を抱えている。マーケティングの戦略について、大勢のCEOが集まる場所で説明することが出来る機会はあまりないが、非営利団体の役員にSEOキャンペーンの結果を紹介することはまさにこの取り組みと一致する。
- モラルの向上に役立つ。 良いことをすると、良い気分になる。非営利キャンペーンに取り組むことで、従業員が世の中を良くしている気持ちになる。
- 質の高いリンクを獲得出来る。 現実を直視しよう。不適切な状況においても、「フォローされるリンクを手に入れられるのか?」と自問し、対応するのがSEOだ。.orgのサイトは検索エンジンから自動的に収益がもたらされるわけではないものの、多数のリンクが寄せされる。また、たいていの非営利団体はパートナーからのリンクを快く受け入れてくれるはずだ。
「関心事」ベースのSEOキャンペーンで高まるのは人気だけである。オンラインで得た情報を基に決定を下す人が増加しており、また、不況下では、非営利団体はマーケティングの予算を賢明に使う必要がある。
SEO業者にとっては、このようなキャンペーンに取り組むと言うことは、ただ単にチャレンジを楽しむだけではなく、売り上げの経路よりも重要な要素において、一石を投じる意味もあるのだ。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「SEO For A Good Cause: Supporting Advocacy & Non-Profit Campaigns」を翻訳した内容です。
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