Take-Twoがモバイルゲーム大手Zyngaを1.4兆円で買収、業界最大手の1社に

ゲーム界で巨大な統合が進行している。Take-Two Interactive(テイクツー・インタラクティブ)は米国時間1月10日、モバイルゲーム大手のZynga(ジンガ)の買収計画を発表した。1株あたり9.861ドル(約1135円)の取引で、3.50ドル(約403円)を現金で、、残り6.361ドル(約732円)をTake-Two普通株式で支払う。この取引でのZyngaの企業価値は127億ドル(約1兆4623億円)だ。

買収により、コンソールとPCゲーム(「Grand Theft Auto」などの代表的なタイトルを含む)のTake-Twoと、Zyngaが間違いなくその大部分を定義したジャンルであるモバイルゲーム(FarmVille、Empires & Puzzles[エンパイア&パズル: エンパズ]、Words with Friendsなどを手がけている)の巨大企業2社が合併することになる。

買収で(2021年9月30日までの)12カ月のプロフォーマ純利用額は61億ドル(約7024億円)となり、プラットフォームに関係なく全体で最大のゲーム会社の1つになるとTake-Twoは述べた。

取引は、株主および規制当局の承認を得て、2023年度第1四半期の完了が見込まれている。

Take-Twoの会長兼CEOであるStrauss Zelnick(ストラウス・ゼルニック)氏は「Zyngaとの変革的な取引を発表できることをうれしく思います。この取引により、当社のビジネスは大幅に多様化し、インタラクティブエンターテインメント業界で最も急速に成長しているモバイル分野で当社のリーダー的地位が確立されます」と声明文で述べた。「この戦略的統合により、当社の業界最高クラスのコンソールおよびPCフランチャイズと、イノベーションと創造性の豊かな歴史を持ち、市場をリードする多様なモバイルパブリッシングプラットフォームが一体となります。Zyngaはまた、非常に優秀で経験豊富なチームを抱えており、今後数カ月のうちに彼らをTake-Twoファミリーに迎え入れることを楽しみにしています。両社の補完的な事業を統合し、より大きな規模で運営することにより、買収完了後の最初の2年間で年1億ドル(約115億円)のコストシナジー、長期的には少なくとも年5億ドル(約575億円)の純利用額のチャンスなど、大きな価値を両社の株主に提供できると信じています」。

ZyngaのCEOであるFrank Gibeau(フランク・ギボー)氏は「Zyngaのモバイルと次世代プラットフォームにおける専門性、そしてTake-Twoの業界最高の能力と知的財産を組み合わせることで、ゲームを通じて世界をつなぐという我々のミッションをさらに推進し、ともに大きな成長とシナジーを達成することができます」と付け加えた。「2021年にZyngaの歴史の中でも最高のパフォーマンスを発揮し、力強い仕上がりを実現したチームの頑張りを誇りに思います。プレイヤーへの投資、クリエイティブな文化の増幅、株主へのより多くの価値の創出という当社のコミットメントを共有するTake-Twoというパートナーを見つけることができ、大変うれしく思っています。この変革を起こす取引で、より優れたゲームを創造し、より多くの人々にリーチし、ゲームの次の時代のリーダーとして大きな成長を遂げることができるよう、新たな旅を始めます」。

ゼルニック氏が合併会社を率い、ギボー氏とZyngaのパブリッシング担当社長Bernard Kim(バナード・キム)氏はより大きなモバイル事業(ZyngaとTake-Twoの既存のモバイル事業の統合を含む)を監督する。

他の多くの統合の動きと同様、今回の買収は相乗効果によるコスト削減を目的としている。Take-Twoは、買収により2年後には規模が大きくなった事業で年約1億ドルのコスト削減が可能になると述べた(まずは統合が行われる)。Take-Twoはすでに多くのモバイルゲームタイトルを有し、フランチャイズをモバイルに拡大してきたが、今回の買収によりこの分野での保有資産が大幅に増加することになる。

これは、Zyngaが長年にわたってどのように推移してきたかを考えると、重要なポイントだ。Zyngaは、上場時に株価が大きく上昇して以来、少しジェットコースターのような状態が続いており、2021年は株価が下落したため、買収のターゲットになっていた。

今回の動きは、ある種の時代の終わりを告げるものでもある。ちょうどサンフランシスコ市がシリコンバレーとは別のテックハブとして地位を確立しつつあった頃、サンフランシスコのSOMA地区を拠点とするスタートアップとして、Zyngaはモバイルゲームの機会をいち早く発見し、拡大させてきた。

当初は、Facebook(フェイスブック)のソーシャルグラフ経由でソーシャルゲームの巨大企業として大きな牽引力を持っていたが、それが迷惑でスパム的なものになると、Facebookがルールを変更し、Zyngaのオーディエンス供給を停止させた。より一般的には、モバイルゲーム市場は消費者の嗜好や利用状況がより不安定であることが分かっており、Zyngaの成功の多くは、人気が衰えたタイトルに代わる次の注目タイトルやフランチャイズを見つける(そして時には買収する)ことで成り立ってきた(最近の大きな買収の1つは、2020年のToon BlastとToy Blastですでに人気を確立していたトルコのPeak Gamesの18億ドル[約2070億円]での買収だ)。

Red Dead Redemption(レッド・デッド・リデンプション)、Midnight Club、NBA 2K、BioShock、Borderlands、Civilization(シヴィライゼーション)、Mafia、Kerbal Space Programを展開するTake-Twoとの統合により、新しいモバイルゲーム体験を構築するためのフランチャイズやIPの大規模ライブラリを手に入れることができる。同様に、ZyngaのIPは今後、さまざまなフォーマットやシーンで新たな牽引を得ることができるかもしれない。

興味深いのは、この大企業が市場全体との関わり方を考えるのに拡大したコンテンツIPを活用するかどうか、またはどのように活用するかだ。最近ではTwitch(ツイッチ)やDiscord(ディスコード)など、人々が集まってゲームについて議論したり、交流を深めたりするプラットフォーム上で、ゲームに関する多くのアクションが起きている。

ゲーム市場は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックをきっかけに「勝ち組」の1つとして、ここ数年で大きな注目を集めてきた。モバイルゲーム業界全体の利用総額は2021年に1360億ドル(約15兆6556億円)で、現在8%で成長しているという数字をTake-Twoは引用した。そしてモバイルが同社の利用総額の半分を占めるようになる、と述べた。

画像クレジット:Zynga

原文へ

(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。