自律走行車両企業のトラック輸送・貨物輸送部門であるWaymo Via(ウェイモ・ヴィア)は、物流企業のJ.B. Hunt Transport Services(J.B. ハント・トランスポート・サービス)との既存の提携を、試験から長期戦略提携に拡大する。
この契約の一環として、J.B. HuntはWaymo Viaの完全自律走行のドライバーレス貨物輸送の最初の顧客となる。Waymo Viaは今後数年以内にドライバーレス輸送を達成すると見込んでいる。
WaymoとJ.B.Huntは2021年に、米国内で最も交通量の多い貿易回廊の1つであるテキサス州のヒューストン・フォートワース間のI-45で「試験走行」を開始した。Waymoによると、Waymo Driver自律走行プラットフォームを搭載したWaymoのDaimlerトラックは、試験終了までに86万2179ポンド(約391トン)の貨物を輸送し、衝突やスピード違反などはなく、100%の定時集荷・配達を行い、貨物は100%無傷だったという。試験走行には毎回、商業免許を持つトラックドライバーとソフトウェア技術者が同乗してオペレーションを監視した。
J.B. Huntのサステナビリティ最高責任者兼執行副社長であるCraig Harper(クレイグ・ハーパー)氏は声明で「2021年行ったWaymo Viaとの試験走行は、自律走行技術を当社の業務内でどのように導入できるかを実際に理解する上で本当に役に立ちました。この戦略的提携はその勢いを継続し、顧客にとって価値あるソリューションとするために詳細をさらに模索していきます」と述べた。
2022年以降、両社はテキサス州の同じルートでさらにいくつかの試験を開始し、ドライバーレスの自律的オペレーションに備えるつもりだ。
Waymoは、J.B. Huntとの次の試験で達成したい具体的な目標について、ドライバー・アズ・ア・サービスモデルを固めるということ以外は共有しなかった。ここには、WaymoがDaimlerなどのOEMと提携して、Waymo Driverを搭載した自律走行トラックを製造することが含まれる。これらのトラックは、J.B. Huntのようなフリートや運送業者が直接購入し、Ryderのようなパートナーによってサービスが展開されることになる。
Waymoの広報担当者であるJulianne McGoldrick(ジュリアンヌ・マックゴールドリック)氏は「これは長期的なビジョンです」とTechCrunchに語った。「そうしたビジョンにスケールアップするまでの間、我々はトラックのテストフリートを有し、そうした車両と当社の自律走行専門家とで行う試験は、当社が完全に自律走行オペレーションに到達した時に、J.B. Huntのような顧客のために人間のドライバーなしで貨物輸送するためのすべての基盤が整っているよう、その運用慣行を得るためにあります」。
提携中にWaymoとJ.B.Huntはまた、自動運転トラックを使用した集合的進歩についてより多くを学ぶために、共同で運用および市場調査を行うことを計画していて、さらにはJ.B. Huntのデジタル貨物マッチングプラットフォームであるJ.B. Hunt 360との技術統合を検討する。
もちろん、テキサス州などの道路を走る自動運転トラックは、Waymoのものだけではない。Waymo Viaの競合相手の1社であるTuSimple(トゥシンプル)はこのほど、初のドライバーレス自律走行トラックを完成させ、その技術は事実上、より進歩的なマイルストーンだ。Aurora(オーロラ)とKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)も、テキサス州で試験的に貨物を運んでいる。
そうしたことについて、Waymoは心配していない。Alphabet傘下の同社の戦略は、自律走行に必要な条件を満たすことよりも、パートナー企業とより緊密に連携することだと、マックゴールドリック氏はいう。
「この業界における多くのパートナーシップやコラボレーションは、主に単発の試運転や試験が中心で、あまり肉付けされていませんでした」と同氏は指摘した。「今回の複数年の契約はすべてをカバーするものであり、単に試験のための試験を行うのではなく、パートナーとの協力関係を深いものにすることを示しています。完全な自律走行がどのようなものか、パートナーと一緒に作り上げ、準備が整ったときにできるだけ成功するようにしているのです」。
画像クレジット:Waymo
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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi)