科学的根拠に基づくADHDサポートアプリ「Inflow」がシードで約2.6億円を調達

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の症状には、不安、慢性的な退屈、衝動性、集中力が続かない、怒りのコントロール、さらにはうつ病などがある。しかし、ADHDの患者は、評価を受けるための長い待機期間や、非常に高価な治療に直面することが多い。

2020年に設立されたあるスタートアップは、臨床医やコーチのチームの知識をアプリに注ぎ込み、ADHDの症状に対処するためのガイド付きプログラムを提供することで、この問題を解決しようとしている。そのために、Inflowは、ユーザーが認知行動療法(CBT)の対処ストラテジーを日常生活に導入できるようにすると主張している。

2020年、InflowはRhythm VCとエンジェル投資家から68万ドル(約7800万円)を調達した。同社は今回、ロンドンのHoxton Venturesが主導するラウンドでシード資金として230万ドル(約2億6400万円)を調達した。

Y Combinatorr(YC、Yコンビネータ)の21バッチ卒業生であるInflowは、米国を拠点とするRoute 66 Venturesの参加も得ている。

また、複数の著名なエンジェル投資家が同社を支援しており、その中には、依存症デジタルクリニック「Quit Genius」の共同創業者Yusuf Sherwani(ユスフ・シェルワニ)氏、Maroof Ahmed(マルーフ・アーメド)氏、Sarim Siddiqui(サリム・シディキ)氏や、法律サービスのチャットボット「DoNotPay」のCEOであるJoshua Browder(ジョシュア・ブラウダー)氏らが含まれている。

ただし、このアプリはまだ独立した臨床試験を経ていないことを指摘しておかなければならないが、同社によれば、それは年内に予定されているという。

同社の広報担当者は次のように述べている。「臨床試験の準備として、米国リッチモンド大学のLaura Knouse(ローラ・ノウス)博士と共同で、ユーザビリティとフィージビリティの研究を行いました。この研究では、事前と事後の症状と機能障害の評価を行い、Journal of Attention Disordersに投稿しました」。

Seb Isaacs(セブ・アイザックス)氏、元Babylon HealthのプロダクトマネージャーであるLevi Epstein(リーバイ・エプスタイン)氏、ADHDの専門家であるGeorge Sachs(ジョージ・サックス)博士によって2020年に設立されたInflowは、今回の資金調達によりチームを拡大し、追加ツールやサービスを展開していく。

InFlowのアプリ

Inflowは「SimpleMind Pro」「Brain Focus」「Focus@Will」などのアプリが存在するADHDアプリ市場の中で競合することになるが、実際のところ、ほとんどのアプリは、ADHDの当事者が使用できる可能性のある生産性向上アプリとして宣伝されているに過ぎない。

Inflowの仕組みは、ユーザーが毎日の短いエクササイズや課題をこなすことで健康的な習慣を身につけ、スキルを学び、ADHDに特化したマインドフルネス技術を実践し、自分の神経学的な差異を知り、ネガティブな思考をリフレーミングするというものだという。

Inflowは、毎月1万5千回以上ダウンロードされているとしている。

共同創業者のSeb Isaacs(セブ・アイザックス)氏はこう述べている。「私たちは、ADHDのケアプロセスを簡素化し、ケアが行き届いていない何百万人ものADHD患者にリーチできると確信していました。Inflowは、すでに多くの課題を抱えているメンタルヘルスシステムでは実現できない、即時かつ手頃な価格のオンデマンドサポートを提供することができます。ウェイティングリストや紹介の必要もなく、複雑な受け入れプロセスもありません」。

Hoxton VenturesのパートナーであるHussein Kanji(フセイン・カンジ)氏は次のように述べている。「ADHDを持つすべての人に成功して欲しいというミッションをInflowが果たすのを見守ることができて光栄です」。

画像クレジット:InFlow founders

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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