ロボットにも愛が必要だ。そこでMITの研究者たちはロボットのBaxterに触圧センサをつけ、やさしい愛撫や、やわらかい握手ができるようにして、愛し愛されている実感を持たせることに成功した。というのは嘘だが、でもBaxterは製造業の工程で利用されて、反復的な作業を行い、そのとき、物をつかむ指先に感圧パッドをつけることにより、動きのやさしさ、優雅さ、繊細さを実現する。
その視覚的なセンサはGelSightと呼ばれ、ロボットの‘はさみ’に、高度な感受性を与える。はさむ力を継続的にフィードバックすることにより、USB充電器のソケットへの差し込み(上図)や、卵を割らずに持ち上げることなどができる。はさみの先端の機構室が薄いゴムで覆われていて、内側からカラーLEDで光らせる。そのゴム膜は表面が反射性の塗料で塗られており、物を握ろうとしたときの変形をセンサに伝える。そしてその変形の過程から、はさみにとっての対象物の位置と、それに加えられている力を計算する。
MITの視覚科学の教授Edward Adelsonは、“自分の子どもたちを見ていて触感に関心を持った”、という。“子どもたちが視覚の利用方法を覚える過程に魅了されるだろう、と期待していたが、実際にもっと魅了されたのは彼らの指の使い方だ。でも自分の専門は視覚なので、指に来る信号を視覚的に見るためには、運動や触覚を表す信号をビジュアルな信号に変える方法を見つける必要があった。像として見えれば、その扱い方もわかるからね”。
つまり彼は、何千もの小さな感圧センサをはさみの指先に敷き詰める代わりに、ゴム膜の変形という形(光センサへの距離)を“見る”システムを作ったのだ。ゴムは、接触しやすい指先パッドにもなる。
しかもセンサの感度(精度)はミリメートル単位だ。すなわち:
“Plattの実験では、MITのRethink Roboticsから派生したBaxterロボットには指が2本のはさみがあり、その片方の先端にGelSightセンサがついている。ありふれたコンピュータビジョンのアルゴリズムを使って、そのロボットは、ぶら下がっているUSBプラグを認識し、それをつかもうとした。まず、USBプラグとはさみとの位置関係を、プラグに浮き彫りになっているUSBのシンボルから把握する。ロボットがプラグをはさむ位置で、二次元の各次元にそれぞれ3ミリの変差はあったが、それでもUSBプラグをUSBポートの挿入することができた。ポートが許す変差は、3ミリどころか、せいぜい1ミリ程度だったのに。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))