アメリカのプログラマ不足はますます深刻、SquareのJim McKelveyが雇用直結型の教育サービスLaunchCodeを立ち上げ

【抄訳】

合衆国の失業率は今、減少傾向が続いている。全国的に求人が増え、中でもとくにテクノロジの分野には、人材の活発な需要がある。

とりわけ今の脱工業化社会のアメリカで、サクセスストーリーがもっとも多いと言われるのが、スタートアップ世界のプログラマやマーケター、それに営業マン/ウーマンたちだ。しかしプログラマという職種は今では、シリコンバレーのテクノロジ企業だけでなく、AvisWinn-Dixieなどの一般企業でも必要とされている。

一般企業のIT部門も含めると、今の合衆国ではプログラマの絶対数が足りない。そこで今では、インターネット上に、さまざまなプログラミング教育/学習サービスが登場している。その中には、近年の技術革新に対応して既存のプログラマを再教育したい、というニーズに応えるサービスも少なくない。

スマホ上でクレジットカード決済を行う人気サービスSquareの協同ファウンダJim McKelveyの心の中では、プログラマを育てて獲得したいという企業的ニーズと、格差社会の下の方の人たちの経済力を底上げしたい、という福祉的な願いが合体している。そこで彼は、生まれ故郷のセントルイスでLaunchCodeを立ち上げた。

“もっとよい仕事をしたい、と願っている人たちのための、(専用道路への)流入ランプとして、これを作った”、とMcKelveyは語る。

 

有料のプログラミング教育/学習サイトの多くは、卒業者を新規雇用の対象と見なすか見なさないかを企業まかせにしている。しかし完全に非営利のLaunchCodeでは、立ち上げから今日までの13か月で115名を正社員候補として企業に送り込んだ。

McKelveyのやり方は、一般的な教育訓練と現場実習(見習い)の二本立てだ。それによって、企業のIT部門における新規雇用を阻む二つの要因を、取り除こうとしている。彼は曰く、“まず、経験2年以上でないと雇わない企業が多い。それも当然で、経験のないプログラマは会社に損害を与えることがありえるからね”。

10月にLaunchCodeは、教育テクノロジの企業PluralSight とパートナーして、LaunchCodeで無料で勉強している人たちがPluralSightのオンライントレーニングコースを無料で受けられるようにした。“いちばん重要なのは、良質で搾取的でない教育だ。良い教育を自称しているサービスは多いが、その実態は、最後が行き止まりだ”、とMcKelveyは言う。ただし中には、ユタ州のFarmingtonのように、企業の要求に合わせてカリキュラムを組んでいるプログラミング教育サイトもある、と彼は語る。

PluralSightの無料のトレーニングはLaunchCodeの参加者に、搾取されるおそれなく、スキルを磨く機会を与えている。

【中略】

そして、企業が彼らを雇おうとするときの、もうひとつの障壁、すなわち資格や証明の保有は、General Assemblyが最近立ち上げた資格認定サービスなどが解決するだろう。
General AssemblyのCEO Jake Schwartzは、こう述べている: “世界的な大企業でも認めるほどのスタンダードがあることによって、スキルを明確に定義でき、将来の雇用機会に結びつけることができる”。

有能なプログラマの不足は、ますます深刻な問題になろうとしているが、McKelveyに言わせると、“一般にプログラミングは難しいと言われるが、むしろ、それを勉強して習得できる人は意外に多いことを、ぼくはLaunchCodeの経験から学んだ”、ということなのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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