これは驚き。ロシアのMicrosoftポータル、その名もMicrosoftPortalが、今のところ“Blue”と呼ばれているWindowsの次のバージョンには、“CanSuppressStartScreen”という名のブーリアンの(二値の)フラグがあることを見つけた。これをonに設定するとユーザは、スタート画面をバイパスしていきなりクラシックのWindows環境に着地する。一部の人にとっては嬉しいかもしれないが、完全にタッチインタフェイスのWindowsマシン、というMicrosoftの夢にとっては、明らかな退歩だ。
でも、Hexusの記事によると、これはMicrosoftが別の顧客層をねらっていることの証拠だ。その客層とは、PCをタッチでなんか使いたくない!使えない!と固く信じている人たちだ。
まず、タッチは無料ではない。ふつうの22インチモニタは149ドルぐらいで、探せばもっと安いのもある。タッチ画面のモニタは300ドルだ。構成にもよるが、ラップトップもタッチ画面のはノンタッチの倍はする。部品価格としても、12インチのWXGAスクリーンで90ドル、タッチなら240ドルだ。タッチ画面にするとラップトップの価格は高くなり、メーカーの利益率は下がる。
Microsoft自身が、内蔵アプリケーションや初心者ユーザ向けにWindows 8の“クラシックエディション”を出すことも、考えられる。タッチ機能なしで完全に使えるOS、世界中の多くの人が慣れ親しんでいるWindows XPの世界に戻すユーザ体験だ。
しかし、この退歩はMicrosoftとって難題だ。Windows 8の売りは、古い世界との決別、だったはず。古いことわざを言い換えると、タッチスクリーンを持ってると何でもタッチスクリーンに見える。Microsoftは、本心では、店頭のすべてのデバイスをSurfaceにしたい(それ自体は悪いことではないが)。今のMicrosoftにとっては、クラシックインタフェイスはどっかに消えてほしい邪魔者だ。でも、世の中、それほど甘くはない。
Chris Pirilloのようなユーザが大声でWin8に不平を言う。Engadgetのナードたちですら、後方互換性が重要と言う。こいつは困った。Windowsの一部のパワーユーザたちは、慣れている今までの使い方で十分、と信じている。それは、世代の問題でもある。OS Xはあと数年はノンタッチだと思うが、これも世代問題への対応だ。
今や、タッチの時代だと言われる。でも、そう言える状況は限られている。モバイルデバイスは、マウスとキーボードが無理だからタッチだ。でもラップトップなら、それを十分使える状況では、タッチパッドとキーボードの方がずっと使いやすい。
Windows 8のクラシックバージョンが現実化したら、それはMicrosoftの大きな退歩だが、でも世界中のITとラップトップ艦隊を敵に回さないためには、世代の偏見に前向きに対応せざるを得ない。ちょっと前までは、あくまでもタッチで行く、妥協しない、とMicrosoftは言っていた。でも今は、こう言うぼく自身もWin8の熱心なユーザの一人だが、妥協が必須だ。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))