デジタルコンテンツの人材養成スクールを運営するデジタルハリウッド(デジハリ)が、エンジニアを養成する「G’z ACADEMY TOKYO」を4月に開校する。
起業支援も視野に入れていて、審査に通過した卒業生にはデジハリが30万円、サムライインキュベートが450万円を出資。プログラミングスキルがゼロの人も歓迎するといい、「世界を変えるギーク」を育成したいという。
受講期間は4カ月。毎週土曜日に、プログラミング初心者の入門学習から応用、オリジナルのサービスを実装するまでを指導する。受講後は2カ月にわたって、著名エンジニアなどからなるメンターが、GitHubを使ってコードレビューを行う。
メンターは、BASEでCTOを務める藤川真一氏、世界で9人しかいないMicrosoft MVPに選ばれたデジタルハリウッド大学大学院講師の山崎大助氏、メルカリやアメーバなどのエンジニアが担当。LINEやGoogleのエンジニアとも交渉中という。
日本ではここ数年、オンラインや短期間でプログラミングを学べる教育機関が増えている。中高生が対象の「Life is Tech!」だったり、提携する人材紹介会社を経由して転職すれば受講料が無料になる「RainbowApps」、専門学校などがある。
米国では最大手のGeneral Assemblyや、授業料無料のApp Academy、4年制大学をディスラプトすると豪語するMakeSchoolなどがあり、2〜3カ月の短期間で集中的に学ぶ「ブートキャンプスタイル」の学校が隆盛。卒業生の多くは、Facebookなど自社でサービスを提供する「ユーザー企業」に就職・転職している。
デジハリがエンジニア養成学校を作ったのは、ユーザー企業で働くエンジニアを増やす必要性を感じたためだ。
SIerのエンジニアを日米で比べると、日本は77万人、米国は90万人で大差はない。その一方、ユーザー企業のエンジニアは米国が230万人で、日本は25万人と10分の1程度。同社スクール事業部事業部長を務める児玉浩康氏は、「プログラミングを丸暗記する人材では新しいサービスを作れない。世界を変えるギークな人材を養成するために学校を設立するに至った」と話す。
はたして、「世界を変えるギーク」はエンジニア養成学校から生まれるものだろうか。
この点について山崎氏は、「優れたプロダクトを世に出すには、子供の頃からプログラミングをやっていないとチャレンジできないと思い込んでいる人が多い。世界を変えるギークが生まれるチャンスを作っていかなければならない」と意気込みを語る。
プログラマーになる間口を広げるために、授業料を「後払い」にしていることも特徴だ。生徒は入学から2カ月間受講した時に、「実力がつかない」「自分には合わない」と判断すれば、入学金の5万円だけ払えば、授業料の20万円は免除される。
定員は50人。プログラミング初心者も歓迎で、入学するにはIQテストなどの試験に合格する必要がある。教室は渋谷・ヒカリエにあるレバレジーズ社内に設ける。
無事卒業した起業志望者は、サムライインキュベートから出資を受けられる可能性があるほか、IT企業を招待したデモデーを開催して就職・転職の斡旋も行うそうだ。