製品の設計から広告の効果まで何でも最適化するSigOptはデータサイエンスの最新分野

Y Combinatorから孵化したSigOptのヴィジョンはでっかい。協同ファウンダでCEOのScott Clarkによると、彼の目標は、“調整可能なパラメータのあるものなら何でも最適化する”ことだ。

名前の中に最適化(optimize)のある企業やサービスは多いから、こんな話を聞いても感動しない人がほとんどだと思うが、でもClarkによると、同社はA/Bテストをやって何かを最適化するサービスではない。なるべく簡単に言うと、ひとつのもののいろんなバラエティをテストするだけではなく、同社はデータを調べて“次は何を試してみるべきか”をユーザに推奨する。だから、ユーザはそれを、ずっと継続的に改良していける。

Clarkはこんな例を挙げる: 会社で広告のいろんなバージョンをテストするとき、ひとつひとつをすべてテストして、最後にもっとも効果の高かったのを選ぶのが通例だが、SigOptでは、ユーザが指定したクリエイティブの要素、たとえば製品写真の色、アングル、位置、等々に基づいてSigOptがいろんなバージョンを作ってテストし、売上やクリック数の多いものを自動的に決める。

上のようなメディア作品だけでなく、SigOptでは製品の物理的な特性も最適化できる。たとえば同社の初期の顧客の中には、SigOptを利用してシェイビングクリーム(髭剃りクリーム)の最適配合成分を決めた企業がいる。つまりSigOptでは、テストするものは何でもよい。調整できる変量さえあれば単純にデータを利用して、その値や組み合わせをテストするだけだから、きわめて汎用的なシステムだ。

Clarkはコーネル大学で応用数学の博士号を取り、その後Yelpのターゲット広告部門の技術者として仕事をした経験から、SigOptのアイデアがひらめいた。彼がYelp時代に仲間と共作したシステムはMetric Optimization Engine(MOE)と呼ばれるオープンソースの最適化ツールで、それはYelpだけでなく、Netflixでも使われている。当時Netflixのアルゴリズムエンジニアリング部長だったXavier Amatrainが、機械学習に関する彼のトークの中で(24:58あたり)MOEに言及している。

MOEはオープンソースだが、ClarkらSigOptの協同ファウンダたちはそれをベースにプロダクトとサービスを構築した。彼はSigOptの目標について、ClouderaがHadoopに対してやったように、SigOptはMOEを商用化したいのだ、と言う。

“Netflixのデータサイエンスチームは世界最高だけど、それと同じレベルの最適化技術をうちはすべての人に提供していきたい”、と彼はそのヴィジョンを語る。

Clarkが見せてくれたデモを十分理解するためには、多少の技術的知識と、また物理的なテストの場合は手作業が多くなるが、でも印象としてはかなり単純明快で、ユーザはテストのためのコードをほんの数行書くだけだ。

まあ今のSigOptはぼくの脳力をやや超えているけど、Clarkによると、今後もっと単純化して、しかも、同社ならではの“秘密の味付け”をいろいろやっていきたい、という。

個人的にちょっと気になることがあったので、Clarkに聞いてみた。SigOptでいろんなパラメータをテストして、人間(個人)の健康を最適化することは、できるだろうか? Clarkの答は、完全に個人レベルでは無理でも、大量のユーザの健康情報がデータとして集まれば、それに基づいてリコメンデーションをしていくことは可能だ、ということだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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