AppleのiOSオペレーティングシステムの次のバージョンiOS 8.3では、無料アプリのデベロッパがユーザを獲得しやすくなる。”iTunes & App Store”に設けられる新しいオプションと、それに対応するiOSのSettingsアプリにより、iOSデバイスのオーナーは無料のアプリケーションやコンテンツをダウンロードする際に、パスワードを不要にできる。つまりiTunesの”Get”ボタンをタップするだけでアプリが彼らのデバイスへ送られ、パスワードを要求されない。
ささやかな変化だが、モバイルアプリのデベロッパにとっては大きいかもしれない。iPhoneやiPadのユーザの多くは、アプリのダウンロードをそれほど頻繁には行わない。スマートフォンやそのほかのモバイルデバイスの今日の大普及にもかかわらず、ある調査によれば、1か月のダウンロード数がゼロのユーザがほとんどである。comScoreによると、だいたいダウンロード総数の約半分は上位7%のユーザによって行われている。
つまり、コンスタントにアプリをダウンロードする人たちと、大人気になりマスコミや友だちのあいだで話題になったアプリはダウンロードする、という人たちがおり、後者の人たちは最初に自分のスマートフォンをセットアップして、好きなアプリをインストールしたら、その状態で満足している。
そもそも、日常、“こんなアプリがほしいな”と思うユーザは少数派だし、またそんな人たちにとってもアプリを見つけてダウンロードするのは面倒で難しい。そしてその他大勢の人たちは、上で書いたように、最初の基本的な設定で満足している。しかし、新しいアプリに対して積極的にならないもうひとつの理由が、アカウント情報を思い出すのが面倒、というものだ。そういう人は、おもしろそうなアプリを知っても、iTunesで認証情報の入力に一回失敗したら、もう二度と近づかない。
この、パスワード不要という新しい機能は、読者からのタレコミにより9to5Macが最初に見つけた。それは今のiOS 8.3ベータでは無効だが、一般公開される安定バージョンでは生きてるだろう。今後Appleの方針が変ることもありえるが、Appleが少なくともこの問題の対策に乗り出したらしいことは、おもしろい。
9to5Macの記事によると、同社は過去にパスワードなしの無料ダウンロードを試みたが、一部のユーザから苦情が出たのでやめたそうだ。
なお、この設定がポップアップするのは、デバイス上のTouch IDを無効にしているときにかぎる。Appleとしては、セキュリティの点で問題がないときだけ、ダウンロードを簡易化したい意向のようだ。
有料アプリは依然としてパスワードが必要で、“どんなアプリでもパスワード不要にする”というオプションは残念ながらない。また、アプリのほかにiTunesの本、映画などのコンテンツも、無料のものはパスワード不要にできる。
画像クレジット: 9to5Mac.com
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)