Facebook、Messengerプラットフォームを公開。コンテンツ作成や企業との対話に利用


今日(米国時間3/25)のF8カンファレンスで、Facebookは新たにMessengerプラットフォームを発表した。6億人のユーザーがサードパーティーツールを使ってコンテンツを作成、共有して、企業に電話やメールをすることなく直接対話できるようにするものだ。ESPN、JibJab、Giphyらの初期パートナーから提供されるコンテンツツールは、今日から利用できるようになる。Facebookは、限られたパートナーとビジネスチャット機能を開発中で、いずれ公開される模様だ。

本日Facebookは、Messenger上の体験を提供するデベロッパー向けに、SDKを公開した。

この発表は、Facebookがコンテンツに焦点を当てたMessengerプラットフォームを作るという、先週私が報じたスクープと一致する。Facebook Messengerの責任者、David Marcusは、「6億人規模のメッセージングプラットフォームをデベロッパーに開放するのは、欧米では初めてだ」と語った。

Facebookは、Parseデベロッパー、広告主、ウェブサイト、およびニュースフィードに関しても、数多くの新機能を公開した。発表の全容は本誌の“Everything Facebook Launched At F8″で見ることができる。

Messengerコンテンツアプリ

Messengerコンテンツアプリは、Messengerの入力ボックスの写真やスタンプアイコン横の「…」ボタンから利用できる。Messenger対応アプリをアプリストアからダウンロードするための直接リンクも置かれている。ユーザーはそれらのアプリを使ってGIFアニメや特殊効果を入れたビデオを作ったり、コンテンツを発見したら、すぐにそれをMessenger経由で友達にシェアできる。

初期のMessengerコンテンツアプリパートナーは以下の通り:ESPN, Bitmoji, JibJab, Legend, Ultratest, Ditty, Giphy, FlipLip, ClipDis, Memes, PicCollage, Kanvas, JJ Abrams’ studio Bad Robot’s Action Mobie FX, Boostr, Camoji, Cleo Video Texting, Clips, Dubsmash, Effectify, EmotionAR, EMU, Fotor, Gif Keyboard, GifJam, Hook’d, Imgur, Imoji, Keek, Magisto, Meme Generator, Noah Camera, Pic Stitch, PingTank, Score! on Friends, Selfied, Shout, StayFilm, Facebook Stickered, Strobe, Tackl, Talking Tom, Tempo, The Weather Channel, to.be Camera, およびWordeo。

こうした機能をMessenger自身に追加すればユーザーは邪魔に感じたり混乱したりする恐れがあるが、Messengerプラットフォームアプリは、独立したコンパニオンアプリとして動作する。

「たとえ今日パートナーと共に追加した機能の1/10でも、われわれが[直接Messengerに]追加していたら、ひどく遅くなってしまうだろう」とMarcusが私に言った。「使いたくない人は、使うことを強制されない…なぜなら新しい体験はMessegner内部にはないからだ。アプリ全体の体験が大きく膨らむのではない」。

パートナーを選ぶために、Facebook社員らは様々なクリエイティブアプリを試し、気に入ったものを選び、連絡を取った。Marcusによると、「殆どのアプリが底力を発揮して記録的な時間で完成させた」。そして、メッセージを送れるのはユーザーだけでアプリ自身ではないのでスパムの心配はない、とMarcusは信じている。

鮮烈なシェア方法を用意することによって、MessengerはSMSや他のメッセージアプリ、WeChat、Line、Kik、KakaoTalk、Google Messenger等と差別化しようとしている。FacebookはMessenger自身で収益化はしないが、Facebookやニュースフィードの利用を促進することが広告収入の増加につながる。

顧客から企業へのチャット

Facebookは、Messengerによる個人対企業コミュニケーションの再発明を目指している。要するに人々は電話のプッシュ音でカスタマーサポートのツリーをたどるのが嫌いだ。無限に続くメールのスレッドも面倒だ。1本のチャットスレッドに匿名でテキストメッセージを送る方が良い。

そのためにFacebookは、初期パートナーのEverlaneとZulilyと協力して、顧客と企業の対話方法を変えようとしている。例えば、Everlaneで何かを買った後、注文内容を変更したいときはMessengerを通じて店に連絡できる。

また、注文の確認メールを何通ももらう代わりに、Messengerでメッセージを受け取ることができる。

カスタマーサポートは、ZenDeskの統合のおかげでMessengerを使えるようになう。すでにカスタマーサポート用のライブチャットシステムを利用している企業も、Messengerに乗り替えることができるだろう。

企業は、自身で専用アプリを持っていなくても、Messenger経由で顧客にプッシュ通知を送れる。

従来厄介者だった顧客-企業コミュニケーションを取り込んでプラットフォームへの囲い込みを推進できるだけでなく、FacebookはEコマースの価値ある洞察を得ることができる。Facebookは、誰が何を買いどの企業と接触しているかを知れば知るほど、広告のターゲットやニュースフィードコンテンツの調整が正確になる。

プラットフォームの企業利用をFacebookがどう収益化するかについて、Marcusは私にこう話した、「現時点では考えていない。しかし時間と共に、消費者にとっての問題を解決し、企業が顧客に接触する良い方法を用意することができれば、良いビジネスモデルが見つかるだろう。両者にとっての問題を解決することが重要だ」。

新たなアプリ発見手段

Messengerプラットフォームは、Facebookへの固定化を促進し、ユーザーの自己表現を助け、カスタマーサポートの問題を解決する可能性を持っているだけでなく、アプリデベロッパーにも膨大な影響を与えるかもしれない。

現在アプリストアはゴミで埋め尽され、高品質の製品を見つけるのは困難だ。Messengerプラットフォームは、選ばれた良質アプリを発見する方法を生み、デベロッパーのビジネス構築に必要な公開の場を提供するだろう。

Marcusは、Messengerコンテンツアプリプラットフォームが解決する2つの大きな問題は、「(1) アプリの発見が簡単ではない、(2) シェアが難しい」であると説明する。ユーザーが既に持っているアプリでさえ、それを探して立ち上げ、何かを作り、カメラロールに保存し、目的のメッセージスレッドを探し、コンテンツをアップロードして、ようやくシェアできる。Marcusは、「われわれは優れたコンテンツを作りあるいは見つけることと、それを友達と共有することの距離を縮めた」と強調した。

Facebookは、世界一のメッセージングアプリになるためには自分だけで全部はできないことを知っている。サードパーティーデベロッパーや企業と協力して、コンテンツや商用価値を高めることによって、Messageは単なるチャットアプリの枠を越える。それは、人と世界全体をつなぐコミュニケーション・レイヤーになろうとしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


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TechCrunch Japan

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