今や知識労働者たちは地球上を自由に移動し、そして各国の都市や政府は彼らに定住を促そうとする。最近の産業政策は、そんな課題も抱えている。
Teleportは、初期のSkypeの社員たちが作ったスタートアップで、活動範囲がますますグローバル化しているモバイルの仕事人たちを支援することを目標にしている。その同社が今日ローンチしたiOSとAndroidアプリは、世界のスタートアップフレンドリな100の都市の、住みやすさの評価を教えてくれる。
ユーザが、生活費や交通、医療、環境など自分が重視する条件を指定すると、アプリはその条件にマッチする都市を教える。
今このアプリが評価する項目は、住宅費(主に賃貸)、スタートアップの求人動向、給与、食費、娯楽、スタートアップの活性度、投資環境、交通の便(主に空の便)、気候、言語の要件、安全とセキュリティ、インターネット接続の質、教育、税などだ。
想定しているユーザは、遊牧民のように自由に働く場所を変えられるスタートアップ労働者だが、今後はグループやチームも対象にする予定だ。今のところは、独身または家族のある個人労働者が対象だ。
また移住を検討しているワーカーを支援するパートナーの政府(国や都市)を、このアプリは”Scouts”(スカウト)と呼んでいる。
長期的にはこのアプリの上で、国や都市の政府が、ワーカー獲得をめぐって(条件等で)競争することを、同社はねらっている。Teleportの”スカウト”たちはユーザが政府と接触し、各種の支援制度を利用して快適な移住を実現することを、期待している。
最初のパートナー都市は、エストニアのタリンとフィンランドのヘルシンキだ。エストニアはバルト海に面した小国だが、政府はテクノロジ産業の振興にきわめて熱心だ。同国の制度下では、外国人がきわめて容易にビジネスをセットアップできる。フィンランドもスタートアップの育成に熱心で、とくに携帯大手のNokiaの衰退以来、国際的な知識ワーカーたちの誘致を積極的に行っている。
TeleportのCEO Sten Tamkiviは、Skypeの最初のR&D部門を率いた人物で、そこで7年間、技術者としてさまざまな仕事をした。協同ファウンダのSilver KeskkülaはSkypeの初期の研究者の一人で、同社のピアツーピアネットワークのトポロジーを、機械学習と人工知能を利用して最適化した。彼自身もデジタル世界の遊牧民で、大学は北京の清華大学と、スタンフォード大学とMITで勉強した。
同じく協同ファウンダのBalaji SrinivasanはAndreessen Horowitzの取締役で、インターネットの上の人びとの自由な離合集散により、いくつかのクラウド国家ができあがる、という説を唱えた人だ。
同社自身がまさにそれ的で、社員たちの物理的な所在は、パロアルト、タリン、ミュンヘン、ベルン、コロンビア、イギリスとさまざまだ。同社は250万ドルのシード資金を、Andreessen Horowitz、SV Angel、Seedcamp、それにJeff Dean、Jaan Tallinn、Scott/Cyan Banister、Rain Rannuらのエンジェルたちから調達した。