この状況は複数回に渡り伝えられてきた。今日IDCのアナリストは改めて、2015年の世界全体でのスマートフォン市場の成長は減速するという調査結果を発表した。IDCは、昨年27.6%だった世界でのスマートフォンの出荷台数の成長率は、今年は11.3%に留まると伝えた。中国市場でスマートフォンが行き渡り、2015年の中国でのスマートフォンの成長(2.5%)が初めて、世界の成長より低くなったのが大きな要因だ。
中国での減速はAndroidの成長に影響を及ぼすとIDCは言う。Googleの開発したモバイルプラットフォームの2015年における世界市場での成長もまた減速し、8.5%に留まるとしている。
IDCは、今年の初めにスマートフォンの出荷台数に関するレポートを公表していて、その時2015年の世界での成長率は11.8%程度であると予測していたのがほぼ的中した。
中国のスマートフォン市場は、今でも世界最大の市場だが、以前ほどの成長は見られない。今月、中国でのスマートフォンの出荷台数は、この9年間で初めて減速したと報じられた。2015年のQ1では、9880万台のスマートフォンが出荷されたが、これは昨年の同時期に比べ4%下がり、前四半期に比べると8%下がっている。
中国は「新興」市場であると捉えられることが多いが、実際には、より成熟したアメリカ、イギリス、オーストラリア、日本市場と状況は似ているとIDCのアナリストであるKitty Fokは前述の記事で説明している。言葉を代えれば、スマートフォンの販売業者は、既存の中国のスマートフォン所有者に対し、端末のアップグレードを薦めなければならないということだ。それは、初めてのスマートフォンの購入を薦めるより難しいことである。
IDCのWorldwide Quarterly Mobile Phone Tracker(四半期ごとの世界でのモバイル端末の計測)プログラムのディレクターを務めるRyan Reithは、現在起きている中国市場の変化は、モバイルの主力OSプラットフォームである、iOSとAndroidに影響を与えるだろうと伝えた。
「これはAndroidにとって影響が大きいでしょう。なぜなら中国は、ここ数年Androidのスマートフォンの出荷台数において、重要な市場だったからです。2014年の全体の出荷台数の36%を中国市場が占めていました」と説明する。「中国のOEM企業が、国内市場から次の急成長が見込まれる市場に焦点を移すことで、彼らはローカルのブランドとの競争といった、課題に直面することになるでしょう」。
ReithはAppleも2012年から2014年にかけて同様の状況に陥っていたと言う。その時、Appleの中国での成長率における前年同期比は、世界の成長率よりやや低かった。しかし、彼らは大きな画面の端末を投入したことで、数字は伸ばすことに成功した。今年、中国でのiOSのスマートフォンの成長率は23%になり、世界市場の成長率より高い水準を保つだろうとIDCは予想している。これはAppleは、既存のAndroidの所有者に対して、iOSに再び乗り換えること訴求することができたということを表している。Android端末の大きな画面を求めて一度iOSプラットフォームから去った人を呼び戻すことに成功したとReithは説明した。
世界、そして中国での成長は今年減速しているが、これから「堅実な成長」が見込まれる市場は他に複数あるとIDCは伝えている。出荷台数において高い成長率と、前年同期比でも成長を見せているのは、インド、インドネシア、中東(パキスタンのような不安定な国を含め、どの国も成長が見込まれる)と、南アフリカだ。ラテンアメリカも急成長するポテンシャルはあるが、各国の経済状況はまちまちであり、変動も激しいとIDCは伝えている。ブラジルの成長率は減速し始め、世界の成長と同じような動きをしている。
IDCは、このような市場が牽引し、2019年までにスマートフォンの出荷台数は19億に達するだろうと伝えている。
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