最新のテクノロジーに触れ続けていると、少し前の「最新技術」がどのようなものであったのかをすぐに忘れてしまいがちだ。たとえば2001年にリリースされた初代iPodは、今とはまったく異なるインタフェースを備えていた。スマートフォンやタブレットを産み出すような技術的発展はまだ成し遂げられておらず、Gmail、Facebook、Twitter、およびSportifyなどは存在しない時代の話だった。Microsoftからは初代のXboxや、Windows XPが登場した時代の話だ。
ついこの間の話のように感じる人も多いと思う。しかし実はガジェットをいじり始めた子供たちは、iPodよりも年若であるのだ。そして生まれた頃から身近にスマートフォンも存在していた。そんな世代の子供たちに初代iPodを渡してみた、というのが上のビデオだ。Fine Brothers Entertainmentの企画によるものだ。子供たちにはiPodが何のためのデバイスであるのかという基本的なことのみを伝えてある。そんな中での子供たちの行動には、なかなか驚かされてしまう。
初代iPodが登場したとき、多くの人がiPodに搭載されたクリックホイールの先進性に喝采をおくったものだった。しかし、このiPodを現在の子供たちに渡すと、使い方がわからないケースがほとんどだ。たいていの子供は、タッチスクリーンに慣れていて、まず画面をスワイプしようとするのだ。
現在では、画面のアンロックにもスワイプを使うし、また楽曲リストをスクロールする際にもスワイプを使う。しかし、スワイプという動作が一般的になったのは、Steve JobsがiPhoneを世に問うてからのことなのだ。楽曲リストをJobsがスワイプするだけで、会場全体に沸き起こる興奮を思い出してほしい。
Appleは「スワイプ」という動作を実装することにより、デバイスをより魅力的なものとすることに成功したのだ。デモをみた世界中の人が、ぜひ触ってみたいと感じたものだった。画面をスワイプしてロック状態を解除することなど、当初はまったくあたりまえのことではなかったのだ。iOS 7ではスワイプなどの基本動作についてのインストラクションが同梱されることとなった。それ以前には、たとえばプレスカンファレンスなどで「スワイプ」インタフェースの仕組みなどについて説明を行なっていたのだった。
最近の子供たちは、初代iPodなどに触ったこともない。そうした子供たちは、モバイルデバイスにはWi-Fiが搭載されていて、スピーカーやアプリケーションおよびゲームなどが存在することが当然であると考えている。さらにコンピューターと直接に接続しないと楽曲を転送できないのも理解しにくいことであるようだ。現在のデバイスならSportify、YouTube、あるいはiTunesなどがインストールされていて、PCと接続せずとも簡単に音楽を楽しむことができる。
そもそも子供たちは、これが音楽プレイヤーであることも認識できていない。多くの人がスマートフォンを持つ現在、専用の音楽プレイヤーというのは、確かに遠い昔のものであるのだ。大人世代のひとりとして、最初のiPodについてはいろいろと思い出もある。しかし今の子供たちにとって、初代iPodなどというのはソノシートと同じく「前世代」のものであるとうつるのだろう。
[via MacStories]
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(翻訳:Maeda, H)