返品送料無料で靴やファッションアイテムを試着して購入できるEC「ロコンド」を運営するロコンド。5月にはアルペンからの10億円の資金調達を発表していたが、その際にロコンド代表取締役社長の田中裕輔氏は「今期の黒字化が見えた」と語っていた。そんな同社が楽天のECモールである「楽天市場」に進出。さらなる販路の拡大を目指す。
出店する店舗名は「LOCOMALL(ロコモール)」。当初はロコンドで取り扱う商品のうち約7万点(ロコンドでは季節によって変動するものの、1000ブランド15〜20万点の商品を扱っている)の販売を行うが、今後ラインアップを拡充していく予定。
田中氏は「創業から5年が経過して年商100億円が見えてきた中で、成長曲線を上げていきたい。 サービスの認知度が上がり、品揃えも増えてきたが日本のECユーザーの90パーセント以上は『試して(試着して)買う』という概念をまだ知らない。『サイズが合わないEC』では、ユーザーにとってエンターテインメントにはならない。ECで自分にピッタリのモノを買えることを知ってもらいたい」と説明。まずは店舗感覚で試着できる返品無料のECを体験して欲しいと訴える。
中小規模の店舗が出店する楽天市場だが、その一方ではZOZOTOWNをはじめとしたファッションEC対抗のサービス構築を進めている。2012年に出資したスタイライフを子会社化し、「楽天ブランドアベニュー」を展開するなどしている。
楽天のファッション部門を統括する楽天 スタイライフ事業 事業長で楽天市場営業第四部 部長の松山奨氏は「楽天市場は『商品数が豊富』『安い』に加えて『サイズや色がそろっている』と評価されているが、ユーザーには『高価なアパレルはサイズが分からない』『返品リスクがある』と購入ボタンに踏み切れない心理がまだある」と説明。その上で、「ロコンドの『試着』というエクスペリエンスを提供していきたい」と語る。
実は「試着」によるユーザーエクスペリエンスの向上は楽天が現在注力しているポイントの1つ。7月にはオンラインでのフィッティング技術を持つエストニア発のスタートアップFits.meも買収している。
楽天ではロコンドの出店にあわせて返品送料無料商品の特設ページを用意(もともとあったそうだが、実質的にはフルリニューアルとのこと)する。楽天では今後返品送料無料の商品を拡充したいとしているが、これは店舗側の対応によるところが大きいし、ロコンドでも効率的な仕組み作りには苦労したと聞いている。もちろんすでに一部店舗では独自に送料無料をうたっているのだが、大々的な実施に関してはまだ少し先になりそうだ。