Teleborderはグローバルに拠点を持つ企業が、人事管理を効率的に行うためのプラットフォームだ。海外進出のために人材を海外に派遣したい、あるいは海外から優秀な人材を採用したいと考える法人は、Teleborderを通して煩雑で時間のかかるビザの申請周りの手続きを、外部のサービス提供者に依頼することができる。Teleborderは2年前にアメリカで事業を開始し、今日、アジアへの進出を果たした。今日から日本、ベトナム、インドネシア、シンガポールでサービスが利用可能だ。
今回TechCrunch Japanは、TeleborderのCEOであるJames Richardsにアジア進出についての話を聞いた。Richardsの父親は世界に拠点を持つホテル企業の役員であったことから、海外転勤が多かったという。Richards自身もオーストラリアで生まれ、インドネシア、イギリス、アメリカと、就学と仕事のために渡り歩いてきた。国を移動する度に、ビザを取得する煩雑で分かりづらい手続きに直面してきたという。彼は「私や私の父親の実体験がTeleborderを作るきっかけとなりました」と言う。
Teleborderは2013年のY Combinatorの夏季クラスを卒業し、創業に至った。現在既に、80社以上のクライアントが利用し、360ほどのビザが承認されたという。99%以上の確率でビザの取得が成功しているそうだ。フィットネストラッカーを製作しているJawboneを含め、国内外問わず優秀な人材を求める幅広い業種の企業がTeleborderのサービスを利用している。
従業員のビザを管理するTeleborderのダッシュボードは無料で利用することができる。料金は、Teleborderに登録しているサービス提供者にビザの申請を依頼する時にのみ発生する。申請するビザの種類にもよるが、平均価格は4000ドルから5000ドルだ。
この価格がお得かどうか、ピンとこないかもしれない。「Teleborderを利用する最大のメリットは、ビザ申請における手間を短縮し、管理を簡単にすることです」とRichardsは説明した。一般的に人事部の人員1人辺り、20名から25名の従業員分の情報を管理できるが、組織の人数が増えた場合、人事部の人材を増やすことでしか人員拡大に対応することができない。Teleborderのダッシュボードの管理機能と必要な手続きを外部に委託することで、人的な作業と時間を大幅に削減できる。
これまでTeleborderは、アメリカ国内でのみ事業を展開し、海外の優秀な人材を採用したい企業とビザの申請を行うサービス提供者とをつなげてきた。今回のアジア進出では、アメリカ企業のアジアへの進出、そしてアジア企業の海外進出をサポートすることが目標だ。
Richardsは日本市場について、これまでも日本の大手メーカーは、海外工場を設立するなど海外進出を行ってきたこと、そしてこれからもグローバル展開を視野に入れる企業が多くなると考え、ビジネスチャンスがあると予想している。彼らのシードラウンドには、Y Combinator、Khosla Venturesらの他に、日本のEast Ventures、Recruit Strategic Partnersも参加している。Richardsは日本の投資家の協力の下、日本市場にアプローチしたいという。
アメリカ企業の依頼でアメリカのビザを申請するだけなら、英語のみの対応で十分だが、アジア進出には日本語や他の言語にも対応する必要があるだろう。Teleborderはクライアントのサポートを行うアカウント・マネージャーを置いているが、今後日本、ベトナム、シンガポール、インドネシアのクライアントのサポートのための人材採用を強化する予定だという。Teleborderのチームは現在、国際色豊かな7名で、ビザ取得の不安をなくし、海外でも自由に働くチャンスのある世界の実現を目指している。