アクションカメラはタブレットに似ているのではないか? つまり多くの人々が欲しがるが、ただし1台だけだ。いつも最新モデルにアップデートし続けようというユーザーはごく少ない。
私の見るところ、GoProの深刻な状況も結局ここに行き着く。同社は今週発表したガイドラインで売上の落ち込みを予測し、従業員の7%をレイオフすることとなった。GoProが直面しているのは市場の飽和という問題だ。大勢の人々がGoP+roをすでに買っている。ただし1台だけで十分であり、さらにもう1台買うつもりはない。
大半のGoProはたぶん1年のうち11ヶ月は埃をかぶったままだろう。事実に直面する必要がある。われわれ一般ユーザーはエクストリーム・スポーツのマニアではない。なるほどたまの休みにスキーやサーフィン、ハイキングなどをする。GoProがそのもようを撮影できるなら1台欲しい。だが実のところどんなGoProでもいい。
解像度が最新、最高のものでなくてもビデオを楽しみ、友達を感心させ、休日を思い出すことができる。バッテリーが1日もたず、いいところでビデオが尻切れになるとしても、カメラのサイズが少しくらい大きくてポケットが膨らむとしてもわれわれはさして気にしない。
アクションカメラの機能はユニークで、他のガジェットでは代替できないことは確かだ。だからといって毎年最新モデルに買い換えるユーザーは少ないだろう。毎日いつもポケットに入っているスマートフォンとは違う。取り出してみせびらかすと効果があるようなステータス・シンボルというわけでもない。
ノートパソコンならわずかの改良でも作業が劇的にはかどり、生活が大いに快適になることもある。ノートパソコンは日常生活の基礎に位置づけられる重要なツールだからだ。ところがGoProの場合は中古品やお安いライバル製品で十分だ。
アクションカメラがタブレットに似ていると言ったのはそこだ。タブレットは映画を見たり本を読んだりゲームを楽しんだりするには好適だが、それには前の世代のiPadでも十分だ。私がそのiPadを買ったときそれは最新モデルだった。以後Appleは製品のアップデートを繰り返しているが、私はiPadを買い換えねばならないと思ったことはない。一方でスマートフォンの画面はモデルチェンジごとに大きくなった。こうした事情からタブレットの市場は頭打ちとなった。私はアクションカメラにも同じことが起こるのではないかと思っている。
なるほど世の中にはアドレナリンが出っぱなしの冒険フォトグラファーが存在する。こういうユーザーは常に最新、最高のアクションカメラを求めるだろう。GoProはまたドローンへの搭載や仮想現実の制作ツールの分野で優位性を獲得している。こういう市場は今後も大きな成長が見込まれる。
しかし今日(米国時間1/14)、GoProの株価は15%ダウンし、昨年と比べると77%程度に下がっている。株価を以前の水準に戻すためにはGoProには何か本質的に画期的な製品が必要だ。今のままではユーザーは古いGoProで十分満足しており、新しい製品を買う気にはならないだろう。GoProは「引出の奥に1台あることが分かっていればそれで十分」なのだ。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)