「『いい会社』をつくる」がコンセプトの社内SNS「Talknote」。ビジネスでの利用が中心のこのサービスが「『いい学校』をつくる」ための試みを開始した。
Talknoteをテスト導入するのは、東京都・武蔵野市の聖徳学園中学・高等学校だ。ICT教育を積極的に推進している同校は、2015年12月よりTalknoteのテスト導入を開始。一定の成果が得られたことから本格導入に乗り出すことをあきらかにした。これまでも教育現場での導入実績はあったが、全面導入は初の事例となる。
教育現場へTalknote導入するのは、「ICT教育の推進」といった目的に限らない。今回の事例に関して言えば、「SNSを利用したいじめや犯罪などのトラブルを未然に防ぎたいという学校側の意図もあった」とトークノートの関係者は語る。そして、そのための機能こそがTalknoteの強みであり、「Slack」や「ChatWork」といった競合他社のツールとの違いであると、トークノート代表の小池温男氏はTechCrunch Japanの取材に対して語った。
「Talknoteは、社員満足度を高めることを最大の目的としている。たとえば、気持よく仕事ができているか、体調を崩していないかなど、『具合が悪い社員』を出さないような努力を企業はすべきだと考えている。そのための仕組みがTalknoteにはある。具体的には、『毎朝9:00にログインしているのに今朝は10:00にログインした』『普段は頻繁に投稿するのに今週は投稿数が極端に減った』といった社員のアクションの変化を、Talknoteは管理者にアラートで教えてくれる」(小池氏)
こういった「アクションの変化」を見逃すことなく、具合が悪い社員を出さない仕組みが、今回の学校側の「SNSを利用したいじめや犯罪などのトラブルを未然に防ぎたい」というニーズと合致した形だ。
Talknoteの導入企業数は右肩上がりで成長している。2015年12月時点では2万1515社。導入企業の業界・規模は飲食から通信・情報サービス、不動産、広告・Webマーケティング、小売、Web・映像制作、人材、コンサルティング、セールスプロモーション、製造業、学習塾、通販など幅広い。企業ごとのアカウント数は数人~1000人以上と幅広い。
Talknoteに限らず、コミュニケーションツールは利用人数が多いほどその恩恵を受けやすい。「塚田農場」や「四十八漁場」などの飲食店を運営するエー・ピーカンパニーでは、1000名を超える全社員がTalknoteを活用している。課題のひとつに、「食材(魚種)が多過ぎて特徴が覚えきれない」ことがあった。しかし、現地の漁師から店舗スタッフまですべての人で情報を共有する「産地共有ノート」というグループを作成。商品知識向上の目的を達成したという。
また、2016年3月にはいわゆる「スタンプ機能」を追加した。
「リリースした3月以降、Talknote上のメッセージ総数は増加傾向にある。今までの新規機能利用率と比べても、初動活性化が早かった印象だ。また、オリジナルスタンプを作りたいというニーズも増えており、実際に導入も進んでいる」(Talknote広報)
同社では、今後も必要に応じてTalknoteに機能を追加していくという。最後に、中・長期的な目標を小池氏に語ってもらった。
「将来的には、あらゆる企業・団体でTalknoteが導入されているというのが理想。社内SNSを含め、コミュニケーションツールはひとつの勝者に収れんしていくというのが一般的な見方だが、それは間違い。B2C向けコミュニケーションツールに目を向ければそれは明らかだ。Facebookを使う人もいればLINEやSkypeを使う人もいる。目的が異なれば使うべきツールも違ってくる。事実、弊社のクライアントの中にもツールを併用している企業がある」(小池氏)
SlackやChatWorkといったB2B向けコミュニケーションツールとのすみ分けを図りながら共存していくというTalknoteの戦略が、小池氏の言葉から浮かび上がってくる。