活動家のShiza ShahidがAngelListと組んで「ミッション・ドリブンなスタートアップ」に投資するファンドを設立

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6月23日(米国)、スタンフォード大学で開催されたGlobal Entrepreneurship Summit (GES 2016)で、資金調達プラットフォームAngelListと活動家のShiza Shahidはパートナーシップを組み、NOW Venturesを設立すると発表した。「ミッション・ドリブン」なスタートアップを支援するファンドだという。

利益を確保しつつ、社会と世界環境に良い影響を与えようとする企業についた最新の名称のようだ。こういったスタートアップはこれまで営利慈善事業会社、ワールドポジティブやソーシャルベンチャー、ダブルボトムラインやトリプルボトムライン企業として知られてきた。

NOW Venturesは、創業メンバーにダイバーシティがあり、女性を含むスタートアップに投資することを約束する。

母国パキスタンに住み、14歳の時から女性の教育とジェンダー平等の提唱者で活動家であるShahidは非営利団体マララ基金の共同ファウンダーであることで有名だ。マララ基金はノーベル賞を受賞したマララ・ユスフザイと彼女の父親の教育者で活動家のジアウディン・ユスフザイと共に設立した。

少し説明すると、 2012年10月、まだ15歳だったマララ・ユスフザイはタリバンの襲撃を受けた。マララが狙われたのは、タリバンが彼女の住む町における支配力を強める中でも、彼女は屈せずに良い教育を受ける取り組みを発信しようと執筆したり、話をしたりしていたからだ。タリバンは彼女が学校から帰宅するバスを襲い、彼女は頭、首、肩に銃撃を受けた。幸いにも一命を取り留め、マララは活動を続けている。

2013年1月に退院した時、彼女と彼女の家族がパキスタンの法律を変えるための支援が世界中、そしてオンラインからも届いた。彼女の訴えは受け入れられ、国が無償の義務教育を受ける権利の法案に合意するに至った。

彼らのウェブサイトによると、マララ基金はパキスタン、ナイジェリア、ケニア、シエラレオネ、本国から離れたシリア難民のコミュニティーにおける女子が少なくとも12年間、安全で質の高い教育を受けられるよう支援する。

この問題に対する人々の認識を高め、非営利団体の設立に成功したものの、自分たちで利益を得て自立した運営をしている会社が他者を助ける方が、世界に大きな変化をもたらす可能性が高いとShahidは考えている。また、そういった影響を非営利団体や慈善活動家より早く実現できると考える。

「私たちが証明したい仮説は、ミッション・ドリブンな企業の方が営利目的だけの企業より良い投資になるということです。そういった会社はロイヤルカスタマーを獲得し、かわいいアプリを制作するより規模の大きい問題に取り組んでいると考えています」 とShahidは言う。

スタンフォード大学を卒業しているShahidは、自分で営利企業を運営したこともスタートアップに投資した経験もないことを認識し、AngelListのCEOであるNaval RavikantとCOOのKevin Lawsの協力を仰いだ。彼らに教わりながらファンドの運用を行なっていくという。

LawsとRavikantはLPからの資本金集め、案件の募集、投資を検討するスタートアップのデューデリジェンスの実施に関してNOW Venturesに協力するという。また、ファンドがどの企業にいくらで投資するかを決議するNOW Venturesの投資委員会にも加入するとLawsは話す。

Silicon Valley Bankもファンドのアドバイザーを務めるが、彼らはファンドの投資委員会にメンバーに加入していない。

Lawsは、NOW Venturesのファンド設立と投資案件の決定においてサポートする以外にも、ファンドが「ミッション・ドリブンな投資の何がうまくいき、何がうまくいかないか」を特定するために、AngelListと調査会社とで広範囲に及ぶファウンダーと投資家のデータを提供するという。

もちろん、NOW Venturesが自分たちの資本を入れる案件をAngelListのサイトに掲載し、彼らのネットワークを通じて適格投資家からのファンディングを募ることも可能だ。適格投資家は自分たちの資本をその案件に投資することができる。

NOW Venturesは最初の資本を506cに沿って調達する。そうすることでNOW Venturesは広く資金を募り、LPからの資本を求めていると告知することができる。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

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TechCrunch Japan

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