Y Combinatorの2015年度冬プログラム卒業生であるInstavestは、個人で行うことが普通の投資という行為をソーシャルなものに変えようとしている。
1年半ほど前にローンチされた同社は、普通の個人投資家が投資経験豊富で株式市場に詳しい他の投資家から学ぶ手助けをしようとしている。
そして本日、InstavestはY CombinatorやSkype共同設立者のJaan Tallinn、Cherubic Venturesなどが参加したシードラウンドで170万ドルを調達したと発表した。
Instavestの元々のサービスとして、経験豊富な投資家は自分たちの取引内容(やその根拠)をサイト上で共有し、他の投資家はその情報を参照の上、必要に応じて内容をコピーすることができた。そして株価が上がれば、サイト上の情報を参照していた投資家が、情報提供を行った人たちに対して儲けの一部を「寄付」する仕組みが備えられていた。
しかしInstavestのサービスには何かが欠けていた。それはユーザーが保有する証券口座とのリンクだ。そのため、投資家はマニュアルで証券会社に取引の実行を指示し、その後Instavestに戻ってプロファイル上に取引情報を入力しなければならなかったのだ。これは間違いなく手間のかかるプロセスであると同時に、ユーザーがInstavestのプラットフォーム上に表示されている株式をシームレスに購入するのを妨げる余分なステップだった。
しかし、Instavestは人気オンライン証券会社10社との提携に関する発表も行い、これでユーザーは同社のサイトから直接株式の売買が行えるようになった。提携先の10社には、E*TradeやOptionsHouseのほか8社の人気プラットフォームが名を連ねる。Instavestは証券会社ごとのAPIを利用してサイトに接続しており、ユーザーはワンタイム認証でInstavestから移動することなく好みの証券会社を通じて株の売買ができる。
この証券口座との連携は2週間ほど前にソフトローンチされ、Instavestによればその後ユーザーが保有する株式の総額が10倍(または1000%)に増加した。この驚くべき増加率から、ユーザーに一気通貫のサービスを提供することが、同社にとってどれだけ重要かということがわかる。この機能が導入される以前、ユーザーは恐らく証券会社のサイトに移動して取引を実行するという手間を理由に株の購入を見送っていたと考えられるのだ。
さらにInstavestは、同社のプラットフォーム上で経験豊富な投資家が儲けられる仕組みを新たに導入する予定だ。寄付制度はこれまで上手くいっている(そして今後も継続される)一方、ユーザーが儲けの一部を還元しないという選択もできることから摩擦が生まれていた。
そこで同社は、熟練投資家が有料ニュースレターを配信できる機能を導入し、月50〜100ドルの料金を支払ったユーザーに対して取引関連情報を提供できるようにしようとしている。この情報はInstavestの一般(無料)ユーザーに対してもニュースレターの配信から数日後に公開されるが、有料ユーザーは情報が一般公開される前に株を売買することで優位に立てるチャンスがある。
知識を持ったユーザーに対して、このように追加で利益を生み出す手段を提供することは、Instavestのプラットフォームを成長させるにあたって欠かすことのできないステップだ。UberやPostmatesといったオンデマンドサービスにおいて、実際にサービスを提供する人が日中の仕事をやめてギグ・エコノミーに参加しようと思える程の安定した収益を確保する必要があるのと同様に、Instavestが投資アドバイスの中心地になりたいのであれば、より多くの有能な投資家をひきつけると同時にとどまらせる工夫をしていかなければならない。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)