デジタルコミックのスタートアップMadefireは、数日前にその最新の資金調達ラウンドの発表を行った。共同創業者兼CEOのBen Wolstenholmeは、同社が仮想ならびに拡張現実へ参入する準備が整ったと話した。彼はその約束の早期実現の期待に応えて、SamsungのOculus-powered Gear VRプラトフォーム向けのプレビューアプリをNew York Comic Conの会場で発表し、デモを行った。
以前Wolstenholmeは私に、コミック読書体験内にとどまりながらも「ネイティブデジタル体験」を与えるものの創出に挑戦していると語った。デモから判断する限り、新しいVR体験とともにその構想はまだ生きている – 音楽、サウンド効果、そしてアニメーションが加わっているが、それでも基本的にはコミックを読んでいる感覚なのである。
Wolstenholmeは、MadefireのVRに対するアプローチを、読書体験に3つ目の次元を追加するものとして説明してくれた。それ自体は3Dコミックではないのだが、読者として、コミックパネルの前に浮かんでいるような感覚を受けるだろう。
彼はそれを、劇場や洞窟壁画と交互に比較した、どちらのメタファーを好むとしても、今まで以上の没入体験を与えてくれるだろう。私もそれを試してみたが、あたかも作品と同じ空間にいるように感じた、タブレットやスマートフォンのスクリーンで読んでいる時に比べて、遥かに大きく圧倒的に感じることができた(コミックが360度のシーンを含むことができるのも役に立つだろう)。
Madefireのオーサリングツールは、クリエイターたちが作品の3次元的側面を比較的単純にカスタマイズし制御できるようにしてくれる筈だ、とWolstenholmeは語った。しかし同社はそのコミックライブラリ全体も自動的にアップグレードしている最中だ:「クリスマスまでには全部を揃えたいと思います」。
一方、デモアプリが現在含んでいるのは、一握りのタイトルである、例えばDCのInjustice: Year OneとMadefireオリジナルのMono: he Old Curiosity Shop (WolstenholmeとLiam Sharp作)などだ。
またこのニュースに関してコミック作家のDave Gibbonsと議論するチャンスがあった。彼はここ2、3年Madefireと一緒に作品作りをしている。彼は新しいVRサポートを含むMadefireフォーマットを賞賛していた、なぜならそれは作家に、作品の読書体験に対するより多くのコントロールを与えてくれるからだ。
「Madefireはスイートスポットを見つけました – 単なる仕掛けではなく、物語が重要なのです」とGibbonsは語った。「(オーサリング)ツールは誰でも使えます、なので自分自身の作品を生み出すことに何の障害もありません。私には素晴らしいことだと思えます」。
WatchmenとThe Secret Service(映画Kingsman:The Secret Serviceの原作)の共作者として、Gibbonsはコミックのストーリーとキャラクタが他のメディアに入り込んでいくのを見ている。彼はコミックが「ごく最近は、コミックが映画に向けてのプロトタイプあるいはプレゼンテーション用ツールとして使われるようになっています」と語った。Madefireの新しいフオーマットを使えば、コミックはこれからも様々なものの跳躍台の役割を果たし、一方書き手や描き手が新しいテクノロジーや、読者を引きつけ続けるための新しい方法を、探求することを可能にするだろう。
「これまで、もうすべての見るべきものは見たよう気がして満足していました、なので、このように新鮮で新しく、そして役に立つものを見ることはエキサイティングなのです」とGibbonsは付け加えた。
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(翻訳:Sako)