850億ドルを費やして実現したAT&TとTime Warnerの合併は消費者の選択肢を狭めることになるという意見が多いなか、Mark Cubanがもつ見解はそれとは異なる。彼はTechCrunchとのインタビューのなかで、今回の合併は業界の「競争を促す」結果になるだろうとコメントしている。
自信もメディアの買収によって財を成したCubanは、この2つの企業が手を組んだことによって「デジタル・コンテンツを独占する」Facebook、Google、Amazonなどの巨大企業に対する挑戦者が生まれるかもしれないと考えている。現状、「At&TとTime Warnerはかなり遅れをとっている」。
HBOやCNNなどを所有するTime Warnerが追加的なリソースを手にすることで、Webコンテンツの開発を加速することができるとCubanは確信している。「アプリ重視型のコンテンツと競争するために、伝統的なコンテンツは変化していく必要がある」と彼は主張する。
[追記: CubanがかつてAT&Tの広告に出演していたことが気になった。彼によれば、すでにAT&Tとの契約は切れているとのこと]
また、今回の合併が規制当局からの承認を受けることを願っていると彼は話す。今回の買収はFacebookによるInstagramの買収やWhatsAppの買収に比べて「インパクトが少ない」のが理由だという(彼はWhatsAppの競合企業であるDustに出資している)。
Cubanの見解とは反対意見を持つ者もいる。バーニー・サンダースやドナルド・トランプをはじめ、多くの政治家はこの合併の合法性に疑問を感じている。
The administration should kill the Time Warner/AT&T merger. This deal would mean higher prices and fewer choices for the American people. https://t.co/S8c4ldDqhi
— Bernie Sanders (@SenSanders) October 23, 2016
ヒラリー・クリントン陣営も今回の合併について懐疑的な意見をもってはいるが、どちらかと言えば様子見の姿勢だ。この合併はが独占禁止法違反にあたるのか。結論は2017年まで持ち越しとなる。
実現せずに終わったメディア合併の話もある。ComcastとTime Warnerの合併計画は中止に、AT&TによるT-Mobileの買収交渉は決裂している。
だが、テレビ回線のプロバイダーがテレビコンテンツの買収に成功したのはこれが初めてではない。2011年にはComcastがNBC Universalを買収し、最近ではAT&TがDirec TVを手中に収めたことで、サービスプロバイダーとしての同社のビジネスを強化している。
情報開示:TechCrunchの親会社はAT&Tと競合関係にあるVerizonである。
[原文]