読者の方の中には、私のように1、2回しか買い物をしていないサイトから送られてくる何百通ものメール広告が、受信箱に溜まっている人がいるだろう。一旦そのようなサイトにメールアドレスを登録してしまうと、際限なく毎週(または毎日!)メールが送られてきてしまう。
携帯電話の番号を登録する場合は、購読解除のやり方が複雑なために事態が悪化する。さらに、月額制と知らずに何かを購入した際に、クレジットカードの情報が登録され、毎月勝手に料金がとられてしまったような場合は最悪だ。
ここから分かるのが、オンラインショッピングをする際に、積極的に使い捨てのメールアドレスやデビットカードを使わない限り、いつかユーザーは問題に直面することになるということだ。しかし言うは易しで、平均的な消費者がこれを実行するには、ほとんどの場合かなりの手間がかかり、テクニカルな知識も必要になってくる。
SudoAppとSudoPayがそんな消費者の悩みを解決してくれる。Anonyome Labsが開発したこのふたつのアプリを使えば、ユーザーは一時的(もしくは永続的)なオンラインアイデンティティを作成・削除できる。そしてそれぞれの仮想ユーザーに、カスタマイズ可能な氏名とメールアドレス、電話番号が付いてくるのだ。
全てのやりとりはSudoApp上で完結し、それぞれの仮想ユーザーには、普段使っているようなメールの受信箱やスレッド式のSMSが割り当てられる。
このアプリには、広告ブロッカー付きのウェブブラウザも標準装備されており、さらなる対策を講じたい人向けに、匿名でのブラウジング機能も搭載されている。
また、クレジッドカード詐欺を心配しているユーザーは、ふたつめのアプリであるSudoPayを利用することで、どの仮想ユーザーでも使える、一回もしくは複数回限りのプリペイドクレジットカードを作成できる。SudoPayの仮想カードではApple Payも利用できるため、実在するクレジットカードを全く連携させないでプリペイドカードを利用することも可能だ。
Sudoのファウンダー兼CEOであるSteve Shillingfordは、SudoAppが主に2種類のユーザーをターゲットにしていると説明する。1種類目は想像できる通り、テクノロジーにとても興味を持っていてプライバシー保護に関心のある人たちだ。この中には、これまでに使い捨てのメールアドレスや電話番号を使ったことがあるが、SudoApp上での仮想ユーザー作成・管理の簡単さにひかれたという人もいるだろう。
そしてもう1種類のターゲットがなかなか面白い。Shillingfordは、”最高家庭責任者(Chief Household Officer)”、つまりさまざまな人生の側面を別けて管理しなければならない親を、もう一方のターゲットに挙げていた。彼らはサッカーチームや仕事、学校のメーリングリストなど、目的に応じて仮想ユーザーを作る(全て実名を使って、メールアドレスや電話番号だけ新しいものを作成する)必要があるのだ。
前述の通り、使い捨てのメールアドレスや電話番号、プリペイドクレジットカードはこれまでにも存在した。しかしSudoの功績は、その全てを組合せてふたつの使いやすいアプリの形にまとめたことにある。
さらに利用料も安い。ユーザーは9種類までであれば、無料で無制限の電話・SMSと1GB分のメール受信箱が付いた仮想ユーザーを作成できる。プリペイドカードについては、仮想カードの残高を補充するたびに、その額に応じて1ドルの手数料がとられる。
これまでSudoは外部からの資金調達を行っていないが、Shillingfordは、恐らく2017年中に初めての外部資金調達を行うことになると考えている。
SudoApp・SudoPay共に、現在iOS向けアプリが公開中だ。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)