本日YouTubeは、コメント機能のアップグレードを行った。アップグレードの目的は、フィード内のどのコメントを目立たせるかに関して、クリエイターにもっとコントロールを与えること、そしてクリエイターと視聴者やファンとの交流をさらに促進させることだ。フィードのトップにコメントを固定表示(ピン)する機能や、不適切なコメントをレビューされるまで非表示にする機能が新たに盛り込まれたほか、今後はコメントへの返信時にクリエイターのユーザーネームがハイライトされるほか、クリエイターが目立たせたいコメントにハート(お気に入り)マークをつけて、視聴者の目を向けさせることができる。
YouTubeによれば、今回のアップグレードの背景には、クリエイターと彼らのコミュニティの繋がりを強化することや、クリエイターがもっと近い距離でファンと交流できるようにするという考えがある。
YouTubeは、成長を続ける同社のビデオ共有プラットフォームにソーシャル性を加えようと、9月にYouTube Communityをローンチした。これによって、チャンネル画面に新たなタブが追加追加され、クリエイターは画像やGIFと共にニュースなどのテキストベースのコンテンツを投稿することで、ファンとの交流を深めることができるようになったのだ。しかし、ファンとクリエイター間の交流には、依然主にコメント欄が使われている。
YouTubeの発表によれば、クリエイターは固定表示機能を使うことで、視聴者に見て欲しいコメントをフィードの1番上に固定できるようになる。しかし、固定表示できるのはひとつの動画につきひとつのコメントのみだとYouTubeは話す。
近年コメント機能の評判が悪化する中での今回のアップグレードは、YouTubeがコメント機能の改善のために行っている施策のひとつに過ぎない。これも9月のことだが、同社はコメント内容を精査するため、モデレーター向けに、彼らが不適切なコメントのフラグ立てやその他のタスクをこなすことで、ポイントを稼いで新しい機能を優先的に使えるようにする新たなプログラムを開始した。
しかし、それ以前にもYouTubeは、ビデオに付いている公開コメントの削除を含む、チャンネルのコメント欄の管理を行うモデレーターを直接選ぶ権限をクリエイターに付与していた。
さらに2013年以降はブラックリスト機能も準備されており、クリエイターは特定の単語やフレーズを含むコメントを公開前にチェックすることができる。
そして本日、YouTubeは新しいコメントレビュー機能のベータ版を導入し、希望者は新機能をテストすることができる。この機能を使えば、新たなアルゴリズムが自動的に不適切な可能性があるコメントを選び出し、クリエイターがそのコメントをレビューするまで公開が保留される。クリエイターは、選び出されたコメントをチェックした後に、そのコメントを承認したり、隠したり、必要に応じて通報したりすることもできる。
YouTubeはまだ開発段階にあるこのシステムについて、問題のないコメントが不適切なコメントとして選ばれたり、その逆に不適切なコメントが探知されずに公開されてしまう可能性もあると注意を呼びかけている。しかし時間が経つにつれて、レビュー結果が反映され、アルゴリズムの性能は向上していくだろう。
ハート機能とユーザーネームのハイライト機能
その他に本日からローンチされた、ハート機能とユーザーネームをハイライトする機能には、コメントを介してクリエイターと彼らのコミュニティの交流を促進する狙いがある。ハート機能は世界中の人が理解できるようなシンプルな機能で、クリエイターは視聴者に感謝の気持ちを表現することができる。そして、ユーザーネームのハイライト機能は、クリエイターからのコメントを目立たせるだけのものだ。
ハイライト機能によって、クリエイターのユーザーネームが色付けされ、視聴者はスレッドにクリエイターが参加しているかどうかがひと目で分かるようになる。尚、現在YouTubeは、チャンネルのイメージカラーにハイライトの色を合わせられるようカスタマイズ機能を開発中だが、まだこちらは公開されていない。一方で、TwitterやFacebookといった他のSNSのように、認証済みアカウントには名前の横にチェクマークが記載されるようになる。
上記のような機能は、実質的に今日のウェブ上にあるほぼ全てのSNSやコミュニティサイトに備えられているということを考えると、YouTubeが同様の機能を導入するのに、これほどまでに時間がかかったというのはいささか驚きだ。しかしソーシャルな分野は、Googleが最も得意とするものではない。
過去にGoogleは、ソーシャル機能をメインとするGoogle+とYouTubeを連携すれば、ユーザーは実名でコメントを投稿しなければならず、結果的に不適切な行動が減るのではないかと考えていた。
しかし、このシステムは反発を受けることとなった。その理由として、Google+にYouTubeが強制的に統合されてしまうということのほかに、Googleアカウントやウェブ上で公になっている自分の情報とは切り離された別のアイデンティティを持っていたい、と考える人がYouTubeのユーザーには多くいたということが挙げられる。
本日発表された新機能は、Google+への統合ほどびっくりするようなものではなかったが、コメント管理に関するYouTubeのもっと現実的な見解が反映されていると言える。どのウェブサービスでも言われている通り、システムによる自動化と人間による管理が組み合わさったものこそ1番上手く機能するようだ。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)